セバスチャン・ベッテルはF1の無線通信に対する規制を批判しているが、他の何人かのドライバーは「問題ない」と意見が分かれている。
今シーズンから導入された無線通信の規制によって、ドライバーは緊急事態以外の場面では、技術的な問題を解決する際にチームの助けを得ることができなくなった。このためドライバーには、トラブルに対処するための手順を記憶する必要が生じている。ヨーロッパGPではルイス・ハミルトンがエンジンモードを正す手段を聞くことができず、レースの見どころが失われたと非難の声が上がった。
セバスチャン・ベッテルも無線通信の規制に反対しており、以下のように意見を述べている。
「(規制は)好きになれない。どれだけ速く走るか、遅く走るかに関しては、違いは何も生まれなかった。飛行機のパイロットはコクピットにチェックリストを持っているが、僕らは禁止されている。何が目的なんだ? パイロットが何かを忘れてしまったとする。乗っている側からしたら、それは好ましい事態とは言えない」
「僕らにしても同じことだよ。(規制のせいで)クラッシュするわけでも、ひどく悪い方向に行くわけではないけれど、どんな変更を加えたら良いかを記憶しているからといって、速く走れるようになるわけではない。(手順を)記憶するべきだとか、事前に話し合っておくべきだとか、ライバルより多くの準備をしておくべきだとか、そんな議論をすることもできる。でもF1は速さを追求する競技であり、半年前や前日に聞いたことの記憶力を競うようなものではない」
ただし、レギュレーションに問題を感じていないドライバーも存在する。フェラーリのキミ・ライコネンも、そのひとりだ。ヨーロッパGPでは電気系統の問題が発生したものの、チームからの助けを得ることはできなかった。
「問題はない。チームと話をしたいような状況に陥ることもあるけれど、ルールはルールで、それは誰にとっても同じこと。たいした問題ではない」と、ライコネンは語る。
ダニエル・リカルドもライコネンに同調しており「エンジンモードのような部分では、やらなければならないことが多くある。でも僕らはきちんと把握しているし、少なくともどうすればいいかくらいは知っているべきだ。慣れる必要はあったけれど、いまのところ問題はない」と話している。
ニコ・ロズベルグは、ルールの採用によって、よりレースが挑戦しがいのあるものになり、導入は成功だったと考えている。
「ルール導入の目的は、チームやドライバーにとって、レースをより難しいものにすることだった。トラブルはいつだって起きるものだし、だからこそバクーのような状況が作り出された。このルールが達成しようとしていたのは、まさにそれなんだ。僕らはチームに伝えられたとおりに走る操り人形だと、以前ファンは批判していた。結果的に現状は、やりがいのあるものになっていて完璧からはほど遠い。だから、これでいいんだ」