2013年にユネスコの無形文化遺産に登録された和食。その和食に欠かせないものといえばやはり箸。美しい箸さばきには惚れ惚れするという人もいるのではないだろうか。
その反面、箸をうまく使えない人に冷たい視線が浴びせられることもある。6月28日、はてな匿名ダイアリーに「箸マウンティングってなんなの?」という投稿が寄せられた。投稿者は、「世間では『箸をきちんと使えない=育ちが悪い、家柄が悪い』みたいな風潮が定着してるのがムカつく」と語っている。
「そんなクソ記事書いてる暇があったら正しい持ち方の練習でもしましょう」
投稿者自身、箸の持ち方が上手くないという。友人から「箸の持ち方変だよー」と言われたときはマウンティングに感じたそうだ。
「正直、私はその友人より親の収入も家の大きさも持ってる車も家柄も全て上だ。なのになんでたかが箸の持ち方一つでマウンティングされないといけないのか意味がわからない」
と憤りを露わにし、「箸づかいが上手くない人へのヘイトスピーチ、やめてください」と訴えかけている。一見するともっともではあるが、この投稿には、「いやなら、正常な箸の持ち方に直せばいいだけだろ」と反論が相次いだ。
「おまえ、箸コンだろ? 箸の持ち方コンプレックスに罹ってるから、『箸の持ち方変だよー』の一言にマウンティングだなんだと過剰に反応してしまうんだ」
「食事のマナーが悪い人は本当に無理。そんなクソ記事書いてる暇があったら正しい持ち方の練習でもしましょう」
「いや箸くらいマトモに使えないと…。いくら家柄がよくてもやっぱりひいちゃう」
「お箸の持ち方が悪いと貧乏くさくて台無し」
また、「20歳の時、大嫌いな先輩に箸マウンティング」され、「悔しくて必死で持ち方直した」という人は、「ご飯がとても食べやすくなった」と振り返る。親からは「ずっと注意してたぞ悪いのはお前だ」と言われ、反省したそうだ。やはり、箸は正しい持ち方の方が良いと考える人が多数派のようだ。
大物芸能人でも失格、正しく箸を持てる人は全体の54.2%
実際、箸の持ち方には関心が集まるようだ。2015年3月に放送された「芸能人格付けチェック」(朝日放送)には、「常識のあるお箸の持ち方」というチェック項目があった。番組では、日本箸文化協会代表の小倉朋子さんが、
「上の箸を、親指、人差し指、中指の3点で支えます。このとき、中指は上の箸と下の箸の間に位置します。薬指は下の箸の下に爪の付け根あたりで支えて、小指を薬指の下に添えます」
と正しい箸の持ち方を説明。だが、この持ち方できちんと箸を使えていた芸能人は8人中4人。関根勤さんや市川猿之助さんはクリアできたが、梅宮辰夫さんや平泉成さん、哀川翔さん、和田アキ子さんら大物芸能人が失格となっていた。
また、バラエティ番組で食事シーンが入ると女性芸能人の箸の持ち方が注目されることもある。近年では2014年に「ザ!世界仰天ニュース」(日本テレビ)に出演したAKB48のメンバー島崎遥香さんや、今年5月の「しゃべくり007」(日本テレビ)に出演した女優の高畑充希さんの持ち方にネットが注目。「どんな躾されたらこんな酷い箸の持ち方ができるんだよ」「一緒に飯食いたくねーw」といった声があがっていた。
だが、内閣府が2010年1月に発表した「食事に関する習慣と規範意識に関する調査報告書」によれば、正しい箸の持ち方をしている人は54.2%と約半数にとどまっている。この調査ではイラストの中から自分の箸の持ち方と同じものを選んでもらう形式だったのだが、上下の箸の間に中指を挟まない持ち方を選択した人は32.5%にのぼった。気づかないうちに自分も正しい箸の持ち方をしていない可能性もある。正しく持てることにこしたことはないが、過剰に目くじらを立てるものではないのではないか。
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