2015年にクラス創設され、ヨーロピアン・ル・マン・シリーズ(ELMS)、そしてアジアン・ル・マン・シリーズ(AsLMS)などで走り始めているLMP3クラス。将来的にル・マンを含むWECやその他の耐久シリーズで、LMP2やLMP1を目指す若手ドライバーの登竜門としての役割を担う目的で誕生したが、マシン開発の面では世界中のコンストラクターが製造に名乗りを挙げる激戦区になりつつある。
LMP3クラスのマシンの基本はカーボンシャシーと金属製のロールバーを備えたクローズド車両で、最低重量が930kg、全長4650mm、全幅1900mm、燃料タンクは85リッターで、エンジンはオレカが供給を請け負うニッサン製5リッターV8自然吸気のワンメイクとなっている。フランス西部自動車クラブ(ACO)の承認を得て、FIAの安全基準を満たし、かつ厳しいクラッシュテストをパスする必要があるが、すでにジネッタ、リジェ(オンローク)、ライリー・テクノロジー、アデス、そして日本の童夢の5社がコンストラクター承認を受けている。
本来ACOの承認枠はこの5社となるはずだったが、6番目のコンストラクターとしてフランスの『ノルマ』が、今年3月にライセンスを獲得。そして今回、新たに『TDSレーシング』がELMSにてマシンを使用する最初のチームとなることが発表された。
過去5シーズンで5勝を挙げているLMP2のフロントランナーであるTDSレーシングは、このノルベルト・サントス率いるノルマの新プロジェクトへの参画を表明。改めてマシン画像を公開した。TDSチームマネージャーのザビエ・コンバットは「我々は彼らの組織がどれほどのクオリティでプロトタイプ製造をできるかよく知っている。このノルマ-ニッサンM30 LMP3の技術的プログラムやデザインの全貌を見たとき、我々はすぐに魅了されたよ」とコメントを残した。
製造を手がけるサントスも「これはノルマの歴史にとっても、非常に重要な瞬間だ」と、この最初の協力関係を説明する。ELMSでは、現時点でリジェとジネッタが実戦参加を始めており、次戦オーストリアでもリジェが最大勢力となりそうだが、今後新たなコンストラクターのマシンも続々とトラックデビューを果たすことになる。