2016年07月01日 16:31 弁護士ドットコム
覚せい剤取締法などの疑いで、元俳優の高知東生容疑者が逮捕された。高知容疑者の妻で女優の高島礼子さんは6月30日、京都市内で会見を開き、「妻の責任」と謝罪しながらも、離婚の可能性も示唆した。
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報道によると、高島さんは会見で、自身も事情聴取と尿検査を受けたことを報告した。また、一緒に逮捕されたクラブホステスの女性と高知容疑者との不倫について問われると、「情けない話ですが、まったく想像していなかった」と話した。
高島さんは「妻としての責任がある。彼がどうやってマイナスから更生していく姿を見極めたい気持ちもある」と複雑な心境を明かしつつも、「私を支えてくださる方を悲しませるようなことはしたくない」と離婚の可能性を否定しなかった。
薬物で逮捕、しかも女性関係の発覚…。こうした夫の裏切りを受けた場合、妻は離婚することができるのだろうか。西口竜司弁護士に聞いた。
「妻が離婚を突きつけて、夫が応じれば、そのまま離婚が成立することになります。そうでなければ、民法で定められた『離婚理由』を裁判で主張することになります。離婚理由については、民法770条に定められています」
今回の高島さんのケースではどうだろうか。
「まず、薬物事件で逮捕されたことは、『婚姻を継続し難い重大な事由があるとき』(民法770条1項5号)にあたるといえます。
この規定については、しばしば芸能人の離婚報道などでも出てきますが、内容はわかりにくいかもしれません。
『婚姻を継続し難い重大な事由』とは、夫婦関係が破綻して回復の見込みがないことを意味します。
配偶者が犯罪をおかしただけではなく、それによって、もう一方の配偶者の名誉を傷つけたような場合、『婚姻を継続し難い重大な事由』にあたるとされています。
今回の記者会見からもわかるように、明らかに妻である高島さんの名誉を傷つけているといえますので、あたると考えます。
また、妻以外の女性とラブホテルに一緒にいたことについては、『配偶者に不貞な行為があったとき』(民法770条1項1号)にあたりえます。したがって、二重の意味で離婚原因があるということになります」
もし、離婚することになった場合、刑罰への影響はあるのだろうか。
「難しいところですが、離婚に至り、社会的な制裁を受けたことで考慮される可能性はあるかと思います。ただし、現実として、どこまで考慮されるかは難しいところかと思います」
元プロ野球選手やタレントなど、覚せい剤がらみのセンセーショナルな事件がくりかえされている。
「軽い気持ちで薬物に手を染めてしまうと、失うものが多くあります。自分だけではなく、家族や友人、そのほかの関係者に多大な迷惑をかけることになります。
なにより、薬物に近づかないことが肝要です。芸能界は、薬物の誘惑が増えるのかもしれませんが、強い気持ちで誘惑を拒絶するということが大切だと思います」
西口弁護士はこのよう警鐘を鳴らしていた。
(弁護士ドットコムニュース)
【取材協力弁護士】
西口 竜司(にしぐち・りゅうじ)弁護士
法科大学院1期生。「こんな弁護士がいてもいい」というスローガンのもと、気さくで身近な弁護士をめざし多方面で活躍中。予備校での講師活動や執筆を通じての未来の法律家の育成や一般の方にわかりやすい法律セミナー等を行っている。SASUKE2015本戦にも参戦した。
事務所名:神戸マリン綜合法律事務所
事務所URL:http://www.kobemarin.com/