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『TOO YOUNG TO DIE!』初登場1位を機に、映画監督クドカンのこれまでの興行実績を振り返る

2016年07月01日 12:21  リアルサウンド

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 先週末の動員ランキング、初登場1位となったのは長瀬智也主演(神木隆之介とのW主演)、宮藤官九郎監督の『TOO YOUNG TO DIE!若くして死ぬ』。288スクリーンで公開されて、土日2日間で動員18万8028人、興収2億5811万9400円。ご存知の方も多いだろうが、本作はもともと今年2月6日の公開予定だったが、物語の導入部がその3週前に起きた軽井沢スキーバス転落事故を連想させるとして、こうして4ヶ月以上公開が延期されていたもの。もっとも、公開が予定されていた2月の同週は『オデッセイ』は予想以上の大ヒットで初登場1位、『信長協奏曲』もロングヒットをしていて、仮に先週末と同じ数字をスライドさせると2位に大きく離されての3位となっていた(もろもろ複雑な要素が絡むので単純に比較すべきではないかもしれないが)。


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 さて、主演俳優としての長瀬智也にとっても、映画監督としての宮藤官九郎にとっても、結果的に初の1位となった『TOO YOUNG TO DIE!』。主演俳優&脚本家としてTVドラマでは度々タッグを組んできた二人だが、主演俳優&映画監督としてタッグを組むのは2005年の『真夜中の弥次さん喜多さん』以来二度目であり、実に11年ぶりのことだった。ちなみに、同作は宮藤官九郎にとって初めての映画監督作品でもあった。いい機会なので、これまでの「映画監督」宮藤官九郎の歩みを興行面から振り返ってみよう。


 2005年4月に先行で3館限定という変則的な興行形態で公開された『真夜中の弥次さん喜多さん』は、動員ランキング圏外だった1週目から17位→7位→10位という高推移を記録。宮藤官九郎にとって、まずは好調な映画監督デビューとなった。次の監督作は2009年2月公開の『少年メリケンサック』。公開初週の週末の動員は15万4361人、興収2億0138万1550円で動員ランキングは初登場3位。累計興収でも10億円を超えるスマッシュヒットを記録した。しかし、監督3作目となった2013年5月公開の『中学生円山』はオープニング2日間で動員4万7919人、興収6689万9200円、動員ランキングは初登場9位と大苦戦。ちょうど脚本家としてTVドラマ『あまちゃん』でフィーバーを巻き起こしていた時期だっただけに、「脚本家」宮藤官九郎と「映画監督」宮藤官九郎の明暗がクッキリと浮き上がることとなった。


 つまり、宮藤官九郎にとって『TOO YOUNG TO DIE!』は、あくまでも客観的には、映画監督として起死回生の一作としなくてはならないタイミングであり、そこで今回きっちりと結果を残したということになる。もっとも、舞台演出家として、脚本家として、役者として、そしてミュージシャンとして、超多忙でありながら、それでも3~4年に1本というペースでコンスタントに映画を監督してきた宮藤官九郎にしてみれば、ヒットしようが失敗しようが、今後も粛々と映画を撮り続けていくだけだろう。『TOO YOUNG TO DIE!』における手慣れた仕上がりは、宮藤にとって映画監督という仕事が自身のライフワークの一つとして完全に軌道にのったことを証明している。(宇野維正)