F1ヨーロッパGPが開催されたアゼルバイジャンのバクーで、バーニー・エクレストンは「2017年は22レースを準備しているが、おそらく18レースになるのではないか」と語った。そして、噂されているブラジルGPの将来について「来年は開催されないかもしれない」と発言。
この発言に反応してか、ヨーロッパGPが幕を閉じた4日後に、ブラジルGPの主催者がリリースを出した。
「サーキットのエンジニアリング部門が6月22日にブラジルのメディアを集めて見学会を行った。6000万ドル(約61億8000万円)を投じたチャレンジングな3年間の改修工事が、いよいよ終了しようとしているからだ。今年のブラジルGPは、生まれ変わったインテルラゴスでの最初のグランプリとなる」
F1の商業権を統括するFOMとブラジルGPの契約は2020年まであり、工事はそれを見越して昨年から始められたものだった。しかし現在ブラジル経済は、これまでにないほど悪化している。6月20日に発表されたブラジルのGDPは、1~3月期で実質成長率が前年同期比5.4%減というマイナス成長。ブラジルのマイナス成長は8四半期連続で、この2年間ずっと景気が後退しているのだ。
あるブラジル人ジャーナリストのA記者は、次のように嘆く。
「おそらく今年が最後のブラジルGPとなるだろう」
ブラジルGPの開催権料は年間2450万ドル(25億2350万円)と言われている。主催者側の収入は基本的にチケットしかないため、これを賄うためには、1枚3万円のチケットを8万枚売らなければならない。それは、ほぼ不可能だとA記者は言う。ブラジルで長年F1中継を行っている「TVグローボ」は、ブラジルGPをサポートしている。A記者はTVグローボと仕事をしているので、ブラジルGPの内部事情が入ってくる。そのA記者が「TVグローボは来年以降テレビ中継は続けるものの、もうブラジルGPのサポートは行わないだろう」と言うのである。
もし今年でブラジルGPが幕を閉じることになれば、1972年から続いている連続開催は44回で終了。南米大陸からF1が姿を消すことになる。南米大陸で初めてF1が開催されたのは、1953年のアルゼンチンGP。この長い歴史が、ついに途切れてしまうのだろうか。
リオデジャネイロ五輪で盛り上がるブラジルだが、F1開催は最大の危機に直面している。