企業の広報担当者にとって、自分たちがプレスリリースなどで発信した情報への反響は気になるところ。最近は、記事がネットメディアに取り上げられた場合、フェイスブックのいいね!数を評価基準にする人が多いが、一体どれくらいのいいね!がついたらPR効果があったと言えるのか。記事の効果測定は大きな課題である。
このような中、PR会社のアウルは6月29日、「カテゴリ別の『いいね!偏差値』」というユニークな指標を発表。いいね!の偏差値とは一体何か、その背景や意図をアウルの担当者に話を聞いた。
ウェブ記事3000本を分析、ジャンルによって「いいね!」のつきやすさに差
作成したのは、アウル社内の研究チーム「ARI(AUR Research Institute)」。同チームは、ウェブPRの可視化を目指し、「確かな裏付けに基づく、効果的なPR活動」の提案をしている。
かつてウェブ記事の効果測定は「広告価値換算」が中心だったが、最近は記事についている「いいね!」や「シェア」などのFBP(フェイスブックプラグイン)の数を定量的な指標として見る動きが広まっている。
ARI代表研究員の池田慎一氏は、いいね!偏差値制作に至った背景について次のように語る。
「企業の広報担当者からウェブ記事の反響が見えづらいという声が多く寄せられていたので、偏差値という指標にしてみました。FBPはビジネス系やIT系など、記事のカテゴリによっていいね!のつきやすさの傾向が分かれるという仮説を立て、2016年3月1日から5月末までに掲載されたビジネス、ITなど6つのカテゴリ別に合計3000記事を分析しました」
分析の結果、IT系メディアでは記事1本あたり平均83いいね!であった一方、ビジネス系メディアでは平均314いいね!であり、ビジネス系メディアはIT系メディアに比べて約3.8倍いいね!がつきやすいことがわかったという。
上記の表を見ながら、記事のカテゴリ別のいいね!偏差値を見てみる。たとえばスポーツ系の記事で249いいね!がついた場合は偏差値60であり、反響があったと言える。しかしグルメ系で249いいね!は偏差値48~50であり、まずますの反響だと判断できる。
「記事の良し悪しではなく、反響を判断するヒントになれば」
広報担当者にとって、記事の反響を評価する指標があった方が露出計画を立てやすくなる。またメディアにとっても、基準があった方が、自分たちの記事を客観的に見ることができるだろう。
「ウェブ上にはたくさんの記事が出ていますが、指標を作ることで、どんなワードを使ったらいいかなどの情報を整理、可視化したいという思いもありました。偏差値と言っても記事の良し悪しの序列を決めるのではありません。広報担当者が記事の反響を判断するひとつのヒントになれば嬉しいと思っています」
と池田氏は語っていた。
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