2016年06月29日 21:52 弁護士ドットコム
東京・駒込などにあるインドカレー店「シャンティ」で働く外国人従業員の賃金未払い問題をめぐって、運営会社と日本人経営者は、裁判所から破産手続きの開始決定を受けた。一方、従業員たちは店舗の存続に向けて模索している。
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従業員でつくる労働組合は6月28日夜、営業譲渡を受けて雇用を継続してくれるオーナーを探すか、労働組合で営業譲渡を受けて雇用の継続を図っていくという方針を決めた。組合代理人をつとめる弁護士によると、すでに営業譲渡を検討している人からの問い合わせが数件あるという。
問題になっているのは、東京・駒込や大塚などに5店舗あるインドカレー店「シャンティ」。「私達は6月20日で解雇・お店閉鎖を通告されています。賃金も2年払われていません。皆さん助けてください」という張り紙の写真がツイッターで話題となった。
従業員によると、給料未払いのうえ、6月20日付で解雇と店舗退去を通告されていた。だが「行くところがない」と自主的に営業をつづけていた。音信不通になっていた経営者の男性は6月27日夜、賃金未払いがあったことを認めて謝罪した。だが、運営会社と経営者個人は裁判所から破産手続きの開始決定を受けていた。
従業員たちは現在、新しいオーナーを探しながら、労働基準監督署に「未払賃金立替払制度」の申請をおこなっている。ただ、この制度で立替えてもらえるのは、退職日からさかのぼって6カ月分で、しかも未払い賃金の8割だ。問題解決に向けて、従業員のジョシさん(48歳・インド人)は「まだ少し時間がかかる」と話した。
店舗は6月29日夜も営業をつづけていた。駒込本店の入り口には「負けないでください。Twitterで見ました。お店の開いている時に食べにきたいと思います」と日本語で書かれた紙が張ってあった。ジョシさんは少しうれしそうに「いつまでかわからないが、しばらく開ける」と話した。なお、従業員たちは「カンパ」をうけつけていないという。
駒込北店にカレーのテイクアウトにやってきた女性客は「おいしいからよく来る。店の張り紙を見てびっくりした。テレビで見たけど、いつも来ている店だと思わなかった」と驚いた表情をみせた。別の女性客は「日本人として恥ずかしい。(経営者は)もっと早く説明すべきだったのではないか」と話していた。
(弁護士ドットコムニュース)