仕事で褒められた経験と怒られた経験のどちらが多いだろうか。仕事のモチベーション維持にお金は重要だが、感謝されることも大切だろう。
人を褒める文化は国によって異なる。ニュージーランドでプログラマをしている筆者のはっしーさんが6月23日、「日本のサラリーマンの褒められなさは異常」というブログを投稿し、共感を呼んでいる。
「ミス無く仕事するのは当たり前」ではモチベーション上がらない
きっかけは以前、はっしーさんが投稿したこのツイートだ。
「ニュージーランドで働いていると、日本って褒められない社会だなって感じる。きちんと仕事していても『ありがとう』『よくやった』って言われること少ない。失敗すると『なにやってるんだ』『再発防止策を考えろ』って厳しく詰められる。最近良く見た例のニュースと一緒だな」
はっしーさんは過去に日本でIT系の仕事に就いており、長時間労働が常態化していた。残業は多いときで月に100時間を超え、典型的な社畜だったという。どんなに仕事を頑張っても感謝されることはなく、バグや設計ミスがあれば厳しく指摘され、上司から誉められたことはほとんどなかった。
そのような環境に「『ミス無く仕事するのは当たり前、評価に値しない』と言われているかのようです」と不満をあらわにする。対してニュージーランドでは、日本とは正反対に褒める文化が根付いているようだ。
「一日に何度『Thanks!』と声をかけられたりチャットをもらったりするかわかりません。タスクついでに細かいバグ修正をすれば『Nice work!』。技術的な情報共有をすれば『Good to know!』」
ミスを注意されても、普段褒められている実感があるだけに、前向きに受け入れて改善しようという気分になる、という点が日本の職場との大きな違いだとはっしーさんは書いている。「誰かが認めてくれてると感じるだけで、仕事に対する姿勢は変わります。この辺の『ほめる文化』は、ぜひ海外の職場を見習ってほしいですね」と強調している。
欧米では、褒めずにダメ出しだけするのは「感情的で非プロフェッショナルで最悪の上司」
はてなブックマークには、はっしーさんと同様の経験をする人のコメントが数多く寄せられている。
「ここ3週間深夜残業ばかりでやっても誰も褒めてくれないし義務感ばかりで達成感も感じなかった業務がようやく終わった今読んだら、なんかもう涙が出てきそうになった」
「昔、3日間完全徹夜で仕事をやり遂げたのに誰も労ってくれず、上司につい愚痴を漏らしてしまった時、『労いや感謝として給料払ってるんだ』と言われた。違う。たった一言『よくやった』の方がずっと救われるんだよ」
筆者(編集部S)も同様の経験がある。頑張って仕事をして褒められるどころか6時間にわたって説教をされ、やる気を大きく失った。
欧米では、部下を褒める文化が根付いているようで、東洋経済オンラインにも昨年10月「米国では部下を褒めずに叱れば管理職失格」という記事が掲載されている。
米国では部下の仕事のクオリティが低くても、「この資料はとてもいいよ。君は本当によくやった。君には感謝している。後はここのグラフがもう少し見やすいといいんだけどな」といった具合に、褒めてから欠点を指摘する。日本のようにぶっきらぼうに「ここ間違っているから直しておいて」と指摘すると、米国人の上司から「感情的で思いやりがなく、非プロフェッショナルな最悪の上司」と見なされてしまうのだという。
人間には承認欲求があり、全く褒められずに否定だけされるのは辛い。仕事関係だけでなく、友人、家族間でも積極的に「ありがとう」と感謝の気持ちを伝えれば、気持ちよく生きられるようになるのかもしれない。競争社会で周りのアラを探しがちな現代だからこそ、人のいいところを褒める習慣を持ちたいものである。
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