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FIA、17年はプライベーターによる新型マシンでのWRC参戦認めず

2016年06月28日 20:51  AUTOSPORT web

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WRCに参戦するプライベーターのひとり、マーティン・プロコップ(フォード・フィエスタRS WRC)
FIAは先週末に開催した世界モータースポーツ評議会(WMSC)で、来季の世界ラリー選手権(WRC)に参戦するプライベーターが新型WRカーをドライブすることを許可しないとの決定を下した。

 2017年、WRCには大幅な車両規則の改訂が行われる。この結果、エンジン出力やダウンフォース量が増加するため、“史上最速のWRカー”が誕生すると言われている。

 WRCのプロモーターやFIAは、ラリーの平均速度が上がることで安全上の懸念が生まれるとして、新型マシンをドライブする人物を事前に審査したいとの意向を示していた。

 この決定により、来季のWRC最上位クラスに参戦するにはワークスチームからのエントリーが必須となるため、ロレンツォ・ベルテリやマーティン・プロコップといった、プライベーターは活動停止を余儀なくされる。

 現在、両ドライバーにマシンを供給しているMスポーツは、長年ワークス活動の一環としてプライベーターをサポートしてきた実績がある。そのため、チームの方針によってはプライベーターも継続参戦できる可能性も残されているが、FIAはプライベーターがワークスチームに所属していても、事前に審査を行う方針を示している。

 現時点で来シーズンにプライベーターを走らたい意向を示しているのはMスポーツのみ。そのほかのフォルクスワーゲンやヒュンダイ、シトロエン、トヨタといったワークスチームは、3台の新型WRカーを揃えることに注力している状況だ。

 先月初め、FIAでラリーディレクターを務めるヤルモ・マホネンは英AUTOSPORTの取材に対し、ドライバーの事前審査を行いたいとの考えを示していた。 

「これらのマシン(17年型WRカー)に乗るドライバーをコントロールしたい。可能であれば、スーパーライセンス制度よりも、緩やかな形でね」とマホネン。

「マニュファクチャラーとFIAが事前に承認したドライバーのみが、新型マシンをドライブできるようにしたい。この方法であればドライバーの管理が可能だ」

 また、マホネンは「(Mスポーツ代表の)マルコム・ウィルソンに大金を積んで、ドライバー登録を志願する者が続出する事態は望まない」とも述べている。

「現在は、ある程度の持参金があればマシンに乗り込むことができ、現時点で我々にはそれを制限する術がない」

「ジェントルマンドライバーを17年型WRカーに乗せたいかって? もちろん、ノーだ。それに18歳のドライバーがWRCで世界選手権デビューを果たすという状況も望んでいないよ」

 このほか、今回のWMSCでは“リードドライバー”の事前申請についても廃止されることが決定された。これまで、最上位クラスに参戦するチームは全14戦中、少なくとも10戦に参戦するドライバーをリードドライバーとして指名する必要があった。

 なお、噂されていた新ポイントシステム(ワークスチームは3名を事前に登録。このうち上位2名のポイントがチームに加算されるシステム)については、採用の可否を含め、アナウンスされていない。