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9mm Parabellum Bullet、8年ぶりの日比谷野音で見せた“カラフルな景色”

2016年06月28日 16:01  リアルサウンド

リアルサウンド

9mm Parabellum Bullet(写真=橋本 塁(SOUND SHOOTER))

 9mm Parabellum Bulletが6月19日、『9mm Parabellum Bullet LIVE 2016 “Waltz on Life Line” at 日比谷野外大音楽堂』を開催した。


(参考:『9mm Parabellum Bullet LIVE 2016 “Waltz on Life Line” at 日比谷野外大音楽堂』ライブ写真はこちら


 9mm Parabellum Bulletが日比谷野外大音楽堂にてライブを行うのは、2008年に開催した『暁の野音』以来およそ8年ぶり。9mm Parabellum Bulletの6thアルバム『Waltz on Life Line』の発売を記念した本公演では、メンバー4人がそれぞれに書き下ろした曲が収められた異色作の楽曲をメインに披露した。雲行きが怪しい天候にも関わらず、会場には立ち見を含め大勢のファンが集結し、開演前から賑わっていた。


 SEが流れ、『Waltz on Life Line』のジャケットをあしらった幕が下されると、腕をあげた滝 善充(Gt)を先頭に、メンバーがステージに登場。歓声とともに各々の楽器を搔き鳴らすと、アルバムの軸となる「生命のワルツ」でライブをスタートした。菅原卓郎(Vo/Gt)が「行けるか日比谷ー!」と叫ぶと、特攻演出による爆発音が鳴り、アルバムのリード曲「Lost!!」で一気に爆音のフロアへ。続く「Discommunication」「Mad Pierrot」でも、その熱気は収まることなく、滝がギターを振り回しながらのプレイを披露。激しい演奏が繰り広げられた。


 その後も、中村和彦(Bass)が作曲を務めたストレートなロックンロールナンバー「湖」「ロンリーボーイ」などのアルバム曲を一気に披露。MCで菅原は「メンバーみんなで(曲を)書いたからカラフルな色んな景色が見れるアルバムになりまして」と語ると、かみじょうちひろ(Dr)作曲の「Kaleidoscope」へ。前半に披露していた「Mad Pierrot」も含め、かみじょう作の楽曲は、曲中でどんどん展開が変化し、楽曲に多彩な個性が表れていく面白さがある。その後は少し雰囲気を変えて、ミディアムバラード調の「Lady Rainy」を演奏した。


 ここで滝が腕の痛みを訴え1度ステージを降りる。中村とかみじょうもその後退場し、急遽菅原のソロ・アコースティックステージに。「The Revolutionary」を演奏し、ストレイテナーの「シーグラス」をワンフレーズ口ずさんだが、「今年最後の海に行くまでに歌えるようにする」と、同曲の披露を次回までお預けにした。観客からリクエストが寄せられ、菅原が「お、いいね」と言って歌い出したのは「黒い森の旅人」。ちょうどあたりが暗くなった野音の会場に、菅原の透き通る声が響き、いつもとは違う曲の雰囲気に観客は聴き入っていた。


 再び4人が揃うと、TVアニメ『ベルセルク』のオープニングテーマ曲として90秒完結で制作した「インフェルノ」へ。演奏前、菅原は「みんなにちょっと覚悟して欲しいんだけど、インフェルノって曲は、このMCよりも短いから。バシっと受け止めてくれよ」とメッセージを送った。曲の始めからエレキギターの早弾き、躍動感溢れるバスドラムの速攻ビートが繰り広げられ、いかにも9mmらしい激しく爽快感のあるサウンドが凝縮された一曲を、オーディエンスは真正面から受け取っていた。


 続いて「火祭り」を披露すると、メンバー3人が退場して、かみじょう1人によるドラソロステージに。ステージ上でさらに段が組まれ、その上にやぐらのようなドラムセットを構えるかみじょう。ドラムスティックを回しながら演奏するスティックさばきや、バスドラムのペダルを怒涛の勢いで踏みまくる彼のアグレッシブなライブパフォーマンスに、観客の興奮は止まらない。ドラムソロ演奏からそのままカウントが始まると観客が手拍子が加わり、ステージにメンバーが戻り、「Black Market Blues」を演奏。空も真っ暗になった会場には、入場時に観客に配られたサイリウムバンドのカラフルな明かりが揺れていた。


 MCで菅原は「音楽は魂の栄養なんじゃないかと常々思っていて。どんなに良いことがあっても、なんか満たされないものが多分あるんです。その正体は分からないんだけど、それを知りたいから音楽をやってるんだと思います。そういう自分の中にある、真っ黒なものの正体がわかれば、反対に辛いことがあった時にも希望をつかめるんじゃないかって気がします」と観客に語った。


 そして、ツアーのタイトルにもなっている「太陽が欲しいだけ」を披露。<あらゆる壁をぶち壊して 迷いを蹴散らして お前の瞳の奥にある 太陽が欲しいだけ>という、先のMCにも通じる歌詞を、菅原は力強く歌った。「ハートに火をつけて」ではアレンジを効かせ、間奏部分でそれぞれの楽器のソロ演奏が披露されると、その度に歓声が上がった。その後も「反逆のマーチ」「新しい光」と王道のナンバーで一気に畳み掛け、8年ぶりの日比谷野音公演を駆け抜けた。


 4人がそれぞれに作曲作詞を手掛けたナンバーが数多く披露された今回の公演。6th『Waltz on Life Line』は、滝の手足の骨折もあり、それぞれが楽曲を手掛ける方向性に変更して制作されたという。だが、このきっかけがあったからこそ、メンバー1人1人の描く9mm Parabellum Bulletの音楽を改めて深掘りすることができたのだと思う。これからも厚みを増していく9mm Parabellum Bulletの楽曲は、彼らとファンの指針になっていくに違いない。(大和田茉椰)


9mm Parabellum Bullet
LIVE 2016 "Waltz on Life Line" at 日比谷野外大音楽堂
2016年6月19日(日)


■SETLIST
01. 生命のワルツ
02. Lost!!
03. Discommunication
04. Mad Pierrot
05. 湖
06. 誰も知らない
07. ロンリーボーイ
08. モーニングベル
09. Kaleidoscope
10. Lady Rainy
11. The Revolutionary(菅原卓郎弾き語り)
12. 黒い森の旅人(菅原卓郎弾き語り)
13. インフェルノ
14. 火祭り
~Drum Solo~
15. Black Market Blues
16. スタンドバイミー
17. 太陽が欲しいだけ
18. ハートに火をつけて
19. 反逆のマーチ
20. 新しい光