勤務中の従業員に、人工知能が「幸福感を高めるアドバイス」を与える――。そんなSF小説のような技術を、日立製作所が開発したと話題となっている。名刺型のウエアラブル端末を首から下げると搭載した「加速度センサー」が心の状態を推定し、メールで個別にアドバイスを送信するしくみだ。
すでに同社だけでなく、三菱東京UFJ銀行や日本航空など13社で実証実験を行なっているそうだ。コールセンターでの実験では「従業員の平均ハピネス度が高めの日は、低めの日に比べて1日あたりの受注率が34%高い」ことなどが明らかになったという。
「働き過ぎ」を監視してくれる機能に期待
人工知能のアドバイスは、職場でのコミュニケーションや時間の使い方に関するもので、「Aさんとの5分以下の短い会話を増やしましょう」「上司のBさんに会うには午前中がおすすめです」といった内容になるようだ。
このニュースを見た読者からは「ついにここまで来たか」という驚きとともに、賛否の声があがっている。コンピュータが人間を支配するイメージからか、
「実験といえどもこんなことが平気で出来る人達を自分と同じ人間だとは思いたくない。そのうち社長もAIにする予感」
と不快感をあらわにする人もいるが、ネットには意外に歓迎する声も少なくない。
「無能な人間がマネジメントするよりはマシな結果が出そう」
「いっそAIが上司になってくれ。理不尽なこと言わんだろ」
特に期待されているのは、人工知能が「働き過ぎ」を監視してくれる機能だ。人間の上司は無謀な精神論を振りかざすが、コンピュータなら生産性が最も上がる働き方を合理的に提案してくれるのではないかというのだ。
「AIに『休め!とにかく休め!』って言われて休み取りやすくなって業務の効率化が図れたらいいよなぁ…」
「残業時間の絶対数や有給の消化率など、明らかに機械的に判断した方がいい部分もあるので、そこをAIに明示させるのは間違いなく効果あると思う」
「転職してはいかが」とAIに提案される時代が来る?
その一方で、根本的な疑念を漏らす人たちもいる。社員の幸福度は働き方よりも、もっと別の要素で大きく上下するのではないかというのだ。
「AIに頼るまでなく給料あげれば幸福感あがると思うな」
「ガッキー(新垣結衣さん)が同僚だったら幸福感高まりそう」
不満を解消するのではなく、「幸福感」を管理しようとする点に違和感を示す人もいる。幸福でない市民を反逆者とみなすコンピュータが支配する世界を描く「パラノイア」というゲームを連想し、こんなコメントをする人もいた。
「幸福は義務です。社員、あなたは幸福ですか?」
「はい、コンピュータ様。わたしは完璧で、たとえようもなく幸福です」
逆に、人工知能が社員にとっての「本当の幸福」を考えるあまり、会社にとって余計なアドバイスをするかもしれないという見方もあった。
「素直なAI『残業のしすぎです』『転職してはいかがですか』『消化されていない有給休暇がありますよ』」
「アナタノ上司ハ無能デス。コノ会社ハアナタニハフサワシクナイデス。転職ヲオススメシマス」
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