一般社団法人ペットフード協会の「全国犬猫飼育実態調査結果」(2015年)によると、いま全国で987万4000頭の猫が飼育されている。
猫の存在が家にあるだけで、生活が豊かになった人は多いはずだ。しかし、何らかの事情により猫を飼えなくなったとき、里親に出すという決断をする飼い主もいる。2016年6月26日、とある男性が猫を里親に出すことについてブログに書き、議論を呼んでいる。
「命の価値に差をつけるべきではない」と主張
「子どもが生まれて、子供が猫アレルギーだと分かったので猫を里親に出します」
男性が腹を立てたのは、猫の里親サイトを見つけたこのようなコメントだった。この家庭で飼われていた猫は、子どもが誕生するまでは家族同然にかわいがられてきたはずである。だが子どもが猫アレルギーを発症し飼育が困難となり、里親に出すことになった。その点は仕方ない。
「世間一般では猫=ペットで飼えなくなったら里親探し、それか保険所に追放をするかの二択。保健所に追放するのは論外だけど、里親に出すくらいなら猫だって家族なわけだから自分の子供といっしょで多少無理してでも面倒を見るべき。そう思ってしまうのです」
環境省が発表した「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況(平成26年度)」によると、年間約8万頭の猫が殺処分されているという現実がある。そのため、男性は
「猫も人間も同じ一つの命なのだから命の価値に差をつけるべきではないと思う」
「どんな理由があろうと生き物を飼ったら生き物の寿命が尽きるまで飼う責任が生じる。その責任がまっとうできないなら生き物を飼うな」
と強く糾弾していた。
「願わくばきちんと里親を見つけてあげるのが猫ちゃんへの親心としてほしい」
里親募集のサイトを見ると、飼い主の飼育放棄により里親を募集している猫がたくさんいる。胸が痛むと同時に、猫を簡単に捨ててしまう飼い主の倫理観を疑ってしまう。
猫アレルギーにより里親に出すことについては以前からネットで議論されている。はてなブックマークでは、
「私も猫アレルギーなのでなんともいえないな。軽度ならいいけど下手すると命に関わることなので子供を守るのは親の役目だからね。願わくばきちんと里親を見つけてあげるのが猫ちゃんへの親心としてほしい」
「私は子供も猫もいますが、猫を里親に出すという選択はできませんね。その辺に捨てるよりはマシですが、生き物を飼うなら何が何でも一生面倒見るべきです」
など、賛否両論が繰り広げられている。
しかしもちろん、一度ペットを飼育したからには、しっかりと飼う覚悟は必要ではあるが、どうしようもない事情も存在するのも事実だ。
「うちは猫と子がいるが、もし猫アレルギーなら家庭内別居しか手だてがないし、それでも毛は飛ぶので相当しんどかろう。里子に出す飼い主さんだって、断腸の思いであったはず」
「理解はするけど、これは子供と猫の両方がいる人間しか結論を出しちゃいけない気がする」
という声も寄せられていた。
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