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「個人型確定拠出年金」主婦や公務員も加入OKに…お得な「節税」メリットを解説

2016年06月27日 10:52  弁護士ドットコム

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専業主婦や公務員など、誰でも「個人型確定拠出年金」に入れる改正確定拠出年金法が、5月24日に成立した。これまで対象外だった公務員や、夫に扶養されている主婦が、今回の改正で加入できることになり、実質的にすべての現役世代が対象となった。


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「確定拠出年金」は、「国民年金」や「厚生年金」など、国が運営する年金に上乗せする企業年金の一つで、任意で加入する。主に企業が掛け金を支払う「企業型」と、自営業者や企業年金のない会社の社員らが加入する「個人型」がある。従来の年金とは異なり、掛け金を自分で運用するのが最大の特徴だ。原則として60歳から年金を受け取ることができる。



掛け金の運用結果で受け取る額が変わるのが特徴で、掛け金は非課税扱いとなる。今回の改正により、掛け金の上限額は主婦が年27万6000円、公務員や企業年金に加入している会社員は年14万4000円だ。



「個人型確定拠出年金」に入ると、どのようなメリットがあるのだろうか。受給できる年金の金額はどのように変わってくるのか。蝦名和広税理士に話を聞いた。



●最大のメリットは「節税」


「確定拠出年金制度に加入することのメリットは、将来受け取れる年金が増えること、そして節税効果があることです。まさに『節税を兼ねた、老後に向けての積立口座』と言えるでしょう。受け取れる金額は、60歳になった時の資産残高と受取期間によって決まりますが、運用次第では将来の年金額を大きく増やすことも可能となります」



蝦名税理士は制度の特徴をこのように指摘した。



「『個人型確定拠出年金』に入る最大のメリットは節税です。なぜ、節税できるのか、3つのポイントから説明しましょう。



【ポイント1:積立金は非課税】



個人型確定拠出年金の掛金(上限あり)は、全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)扱いとなります。掛金の額により所得税・住民税の節税が図れます。



【ポイント2:運用益は非課税】



投資信託などの金融商品の利子や配当などの運用益は一般的に課税がされますが、確定拠出年金はいくら運用益を出しても非課税になります。



【ポイント3:受取時の所得控除】


受け取り時に一時金として受け取る場合は退職所得となり、大きな退職所得控除が適用されます。また、年金として受け取るときは、有利な公的年金等控除が適用となります。



個人型確定拠出年金は、上記3つの税制優遇が期待できます」



●NISAとの違いは?


同じく節税効果のある「NISA」(少額投資非課税制度)とは、どんな違いがあるのだろうか。



「NISAと比較すると、運用益については非課税(NISAは限度有)という共通点はあります。しかし、NISAには所得税・住民税の節税は期待できません。総合的な節税という観点では、個人型確定拠出年金の方がお得と言えそうです」



また、もう1つの大きな特徴があるそうだ。



「法改正前は年金資産の持ち運び(ポータビリティ)の点で、大きなデメリットがありました。転職をした際に企業年金を移管できず、既存の残高を運用するだけにとどまり、手数料のみが発生するというリスクがありました。しかし、今回の法改正を機にポータビリティ制度が拡充したため、年金資産を移管できないリスクが緩和されました。


今後は、金融機関各社から魅力的な個人型確定拠出年金プランが出てくることが予想されます。みなさんも今回の法改正を機に、個人型確定拠出年金の活用を考えてみてはいかがでしょうか」



【取材協力税理士】


蝦名 和広(えびな・かずひろ)税理士・特定社会保険労務士・行政書士・海事代理士


北海学園大学経済学部卒業。税務、労務、新設法人支援まで、幅広くクライアントをサポート。趣味は旅行、1児のパパ。


事務所名 : 税理士・社会保険労務士・行政書士 蝦名事務所


事務所URL:http://office-ebina.com


(弁護士ドットコムニュース)