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インディ第10戦ロード・アメリカ:パワーが8万人の観客を魅了。琢磨はトラブルが痛手に

2016年06月27日 10:11  AUTOSPORT web

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インディカー第10戦ロード・アメリカ/今季2勝目を喜ぶウィル・パワー
ロード・アメリカで開催されているインディカー・シリーズ第10戦。26日に行われた決勝レースは、ポールポジションからスタートしたウィル・パワー(チーム・ペンスキー)がライバルを寄せ付けず、今季2勝目を挙げた。佐藤琢磨(AJフォイト)は、15番手から追い上げを見せるもスピードリミッターのトラブルでペナルティを受け17位でレースを終えた。

 ウィスコンシン州ミルウォーキーの北、クルマで約1時間半の距離にあるロード・アメリカは、全長が4.014マイルと長いコースで、2007年までチャンプカーがレースを開催していたが、インディカーがチャンプカーを併合した2008年からはレースが開催されずにきていた。

 それが今年からカレンダーに復帰し、レースを待ち望んでいたファンが今週末のサーキットには大勢集まっていた。ファンの期待に応え、素晴らしいレースが、好天の下で展開された。

 優勝はウィル・パワー。ポール・ポジションから優勝まで逃げ切るレースとなったが、ゴール目前に出されたフルコース・コーションの後、トニー・カナーン(チップ・ガナッシ)が猛チャージを仕掛け、0.7429秒の僅差でのフィニッシュとなった。トップ争い以外では非常に多くのアクションが見られ、ロードコースだが順位変動の多いエキサイティングな戦いとなっており、ファンはおおいに沸いた。

 予選2位だったスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)がエンジントラブルにより6周でリタイア。これでパワーの戦いは随分とラクになった。予選3位だったカナーンは、トップ争いよりも、むしろ後方から迫るグラハム・レイホール(レイホール・レターマン・ラニガン)を気にしてのレースを戦っていたからだ。パワーは50周のうちの46周でリードラップを取った。

「大きな満足感が得られる勝利となった。本当に嬉しい。以前の速さ、強さを取り戻したと感じている」とパワーは語った。

 彼はタイヤを労りながらトップを守り続け、差をコントロールして走り続ける余裕を持っていた。終盤にはリスタートという試練が待っていたが、そこでも彼はミスを冒さなかった。「終盤のリスタートで失敗して来たが、今回は絶対にそうならないように頑張った。ベストを尽くしてリスタートでリードを広げてやろうと考えていた」とパワーはレースを振り返った。彼はプッシュ・トゥ・パスが温存しており、それを有効に使って逃げ切った。

 カナーンは今シーズンの自己ベストとなる2位フィニッシュ。3位にはレイホールが食い込んだ。今季2回目の表彰台だ(1回目はバーバー・モータースポーツ・パークでの2位)。今季5回目のトップ5フィニッシュ。2007年のロード・アメリカでも彼は3位だった。シボレーは8勝目。チーム・ペンスキーは6勝目だ。

 ポイントトップのサイモン・ペジナウ(チーム・ペンスキー)は終盤のリスタート時には2番手を走っていたが、ディクソン同様にエンジントラブルに見舞われて後退し13位。

 ランキングトップと2位が上位フィニッシュを逃したことでポイントスタンディングは一気に差が縮まった。依然としてペジナウのリードは74点と大きいが、ポイント2位にはエリオ・カストロネベス(チーム・ペンスキー)が浮上。パワーはポイント3位となり、チーム・ペンスキーがトップ3を独占する強さを見せている。

 佐藤琢磨は17位。レース中盤には7位にポジションアップしていたが、ピットスピード違反でペナルティを二度も受けて上位フィニッシュのチャンスを失った。

「テストに来なかったけれど、チームが頑張って良いマシンを作り上げることが出来ました。予選は15位と悪かったが、決勝で上位へと進出できる感触はあった。その通りにレース序盤に順位を上げていけました。しかし、ピットスピード・リミッターが誤作動してスピード違反を犯すこととなり、2回のペナルティ。残念な結果になりました」と琢磨は悔しがっていたが、「マシンは良かった。これはチームにとっても自信になりましたし、ワトキンス・グレンが楽しみです」と彼は語った。