F1で今シーズン導入された無線通信の制限は、通信内容を「幼稚」なものにしており、現在の状況は「ばかばしい」とジャック・ビルヌーブが批判している。
今季FIAはスポーティングレギュレーションの第27.1条に記載の「ドライバーは手助けを受けることなく、単独で運転しなければならない」との内容を厳格に適用し、ピットウォールから受けられる指示は以前よりも少なくなっている。ルイス・ハミルトンは、ヨーロッパGPでマシンの競争力を高めるために選択すべきエンジンモードの指示を得られず、このルールがレースの見せ場を台無しにしたと語っている。メルセデスのトップであるトト・ウォルフとマクラーレンのフェルナンド・アロンソも、バクーでの状況を考えた場合、ルールの調整が必要であるとの意見だ。
ビルヌーブは自身の考えを、以下のように述べている。
「この無線に関する規制は好きになれない。全て許可するか、全て禁止するかにすればいい。『これは許可で、これは不許可』などという中間を設けるなんて、ばかばかしい。レース中の無線の内容は、幼稚なものに聞こえた。チームからの無線があってもなくても、決断をするのはドライバーだ。中途半端なルールにしても、うまく機能はしない」
バクーで行われたレースでは、オーバーテイクの大半が長いストレート上でDRSを利用したものとなっており、見応えのあるものではなかった。ビルヌーブはオーバーテイクに使用されるDRSなどのデバイスに関しても、より良いレースのためには禁止するべきだと語る。
「何かしらの動きを見せる代わりに、DRSを使う。オーバーテイクがあったとしても、それまでに組み立てたもの、築き上げてきた状況というものがない。そして、来年もDRSの使用は継続される。来季のマシンは速くなるのだからDRSなんて不要だというのに、おかしなことだ」
「さらに言えば、アグレッシブなドライビングに向かないピレリ(タイヤ)も継続になる。つまり渋滞にはまった途端にタイヤがダメになって、難しい状況になる。ドライバーはエンジン、タイヤ、燃料と何もかもを節約しなければならず、アタックのチャンスはない。DRSを取り除いてしまえば、それに頼ることができなくなるので、状況を改善する手助けになるだろう。何人かのドライバーは、ディフェンスすらしなくなってしまった」
複雑化したマシンを安全に制御するためには無線は必須だとの意見もあるが、FIA側は規制緩和の予定はないとしている。