2016年06月24日 19:31 弁護士ドットコム
「アリさんマークの引越社」で知られる引越社関東(東京)で、営業職だった30代男性が「シュレッダー係」に異動させられてから、まもなく1年をむかえる。男性が加入する労働組合は6月24日、男性を元の職場に戻すよう求める署名約2万5000人分を会社側に提出した。男性は「会社には、ことの重大さを早くわかってもらいたい」と話した。
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男性は2011年、引越社関東に入社した。長時間労働なのに残業代が支払われず、しかも営業車の運転中に車両事故で弁償代を請求されたことから、男性は2015年3月、個人で入れる労働組合「プレカリアートユニオン」に加入した。
ところが、組合加入がきっかけとなって、会社側は同年3月、男性を営業職から「アポイント部」に配置転換。さらに、同年6月30日、一日中シュレッダーをかけるだけの仕事に異動を命じた。この間、会社とは団体交渉や訴訟もおこなわれているが、男性は「シュレッダー係」のままだ。
男性は、弁護士ドットコムニュースの取材に「出勤から退勤まで何も考えていません。『無の境地』です」と語る。シュレッダーにかける紙はそんなに多いのか−−。こう問いかけると、男性は「関西や名古屋などから、シュレッダーにかけるための紙が送られてくるんですよ」と答えた。
プレカリアートユニオンは昨年から、オンライン署名サイト「change.org」を使って、男性を元の職場に戻すよう求める署名をつのっていた。この日までに、約2万5000人分の署名が集まり、男性や組合員など約10人が引越社関東本社ビルにつめかけて提出した。その際、男性らが「よろしくお願いします」と訴えたが、会社側の担当者はほとんど言葉を発しなかった。
プレカリアートユニオンの清水直子執行委員長は、弁護士ドットコムニュースに対して、「署名には多くのコメントがついた。共感が広がっている」「会社はこの間、誰の得にもならない対応をしてきた。真剣に話し合いで解決する姿勢を見せてほしい」と話していた。
(弁護士ドットコムニュース)