「新規上場企業」といえば、さらなる事業成長のために株式市場から資金調達をする会社だ。ここ数年は減少傾向にあるというが、そんな中でも上場を果たした会社は、時流に乗った稼ぐ各社のノウハウを持っているに違いない。
6月19日放送の「がっちりマンデー!!」(TBS)では、ここ1年以内に上場を果たしたベンチャー企業を取り上げていた。紹介された4社のうち3社は東証マザーズ上場で、2社は中高年向けのマッチングサイトを運営しているという。(ライター:okei)
ゴルフ予約サイトの利用者「今回で150回目」
今年3月に東証マザーズに上場した「バリューゴルフ」(東京・三田)は、1人でもゴルフ場が予約できるサイト「1人予約ランド」で成功した。知人の都合がつかない場合でも、4人グループを作ってラウンドできると好評だ。
会員の6割以上が50歳以上で「時間とお金はあるが、なかなか4人集めるのが大変」という定年退職後の中高年に大人気。あらかじめプロフィールでレベルや年齢などが閲覧できるので、初対面同士でも楽しめる。
会員数は26万人を超える。収益はゴルフ場側から、1人あたり700円の送客料を受け取る形だ。そんな少額で儲かるのかと思いきや、番組に登場した利用者の中には「100回超えた」「今回で150回目!」という人もおり、かなり利用している人もいるようだ。
仏事関係の検索サイトで成功したのは「鎌倉新書」。昨年12月に東証マザーズに上場している。30年間、業界誌を作ってきたネットワークを生かし、お墓の場所や特色、費用を詳細にサイトに明示した「いいお墓」を運営している。
業者が販売できた時点で掲載料を受け取り、年間売上11億5000万円のうち8割がサイトからの売り上げだ。同様のしくみで「いい葬儀」「いい仏壇」というサービスも運営する。2社のVTRを見たMCの加藤浩次さんは「これからの時代、シニアとITだね! これがミックスしたときに、爆発的に当たるものになる」と感心していた。
需要を創造する飲食店「消費動向なんか興味ない!」
ゲストで東洋経済新報社の田北浩章さんも、今後上場しそうな領域として「2025年ビジネス。団塊世代が75歳以上の後期高齢者になる2025年に焦点をあてた、本当の意味でのシニアビジネス」と予想した。やはりシニアねらいだ。
その一方で、ITやトレンドなんか気にしないと言い放つ経営者もいた。昨年10月に、やはりマザーズに上場した「バルニバービ」。社長の佐藤裕久さんは少し長めの白髪で、自信に満ちた言動がいかにも「やり手」という雰囲気だ。
「人がいない、来ないんではなくて、お店がないから人が来ない、いないだけ! もしもお店ができたら、しかもスゴイいいお店だったら、わざわざ足を運んでいただける」
人通りのない悪立地でも、ビルをまるごと飲食店に改装、年間20万人が来店する人気スポットにしてしまう。地味な倉庫ビルの壁をぶち抜き、窓から隅田川を望む明るくおしゃれなレストランに。広い屋外作業場を気持ちの良いテラス席に改装するなど、独自の発想でその場所の個性を生かし切る。そんな手法で、全国68か所に飲食店を展開している。
市場調査などデータに頼ることなく、年間売上66億円をはじき出すのだ。佐藤社長は自信満々の態度で「1時間当たり何人通るか、消費動向がどうであるとか、全く興味ない! ゼロゼロゼロゼロ!」と断言していた。
既存の商材を独自の発想でひと捻りして成功
前出の田北さんは、佐藤社長の手法について「(家賃は)表参道に比べれば10分の1、利益率は10%ですよ」と予測。しかも「大手のようにパッケージ化されている訳でない。個店が68店集まっている会社」と高く評価していた。
新規上場というと、どこか独創的なIT技術を全面に押し出しているイメージがあったが、紹介された会社は意外にも商材やビジネスモデル自体に新しさを感じなかった。その代わり「他にはない発想力」をもって、自社独自の情報網とひと捻りして成功していたように思う。(ライター:okei)
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