社員の慰労や団結力を高める目的で開催される社員旅行だが、煩わしく思う人も多い。6月20日に女性向けコミュニティサイトの「ガールズちゃんねる」に立った「会社の嫌すぎる行事」というトピックでは、社員旅行が多くあがっている。
「社員旅行! ほんと最悪。単なる泊りがけの飲み会って感じで、飲まない私には何にも楽しいことはない!」
「旅行ってのは気が合う友達、家族とかと行くから楽しいんだよね。会社の人と行くなんて苦痛でしかない」
「積み立てして上司とハワイに行くより貯金して彼氏とグアムに行きたい」
2014年にgooランキングが発表した「実は迷惑な社内行事ランキング」では社員旅行が1位となっている。だが、産労総合研究所が2014年に行った「社内イベント・社員旅行等に関する調査」によると、46%の企業が社員旅行を実施。また、実施している企業の82%は今後も実施する姿勢を見せている。
社内旅行の費用が会社持ちならまだ納得いく。だが、ガールズちゃんねるでは、「(社員旅行の費用が)強制的に徴収される」という声も相次いでいた。
「社員旅行の強制的な積み立て。積み立てして上司とハワイに行くより貯金して彼氏とグアムに行きたい」
「毎月2000も慶弔として取られる 年にすると24000円はキツイ その中から社員旅行として使われる 家庭の事情で参加できないから毎年2万くらいはぼったくられてるのと同じ 」
中には、「積立金返してほしいから今裁判してます」という人も。また、社員旅行で有給休暇が強制的に消化させられているという人もいた。
「社員旅行」のためだけに徴収されているお金なら取り戻せる
社員旅行がトラブルの元になっているようだが、実際、給料の天引きや有休の強制は許されるのだろうか。労働問題に詳しいアディーレ法律事務所の岩沙好幸弁護士(東京弁護士会所属)は次のように語る。
「社員旅行のためだけに集めている費用であれば、積立金は戻ってきます。積立金は従業員が社員旅行のために会社に預けているお金です。旅行に行かずに使わなかったら返すのが公平です」
ただ、返還が難しいケースもある。「親睦会費」といったような名目で、積立金が社員旅行以外に懇親会や各種イベントにも利用されている場合だ。
「『親睦会費』という名目で徴収されていた場合は、社員旅行以外にも使われている可能性があるので、実際そうなのであれば返還は難しくなりますし、実際は社員旅行だけであれば返還を求めることができる可能性があります」
また、「社員旅行のための積立はあくまで任意のため、どのような名目であっても、積立を断ることは可能」だという。始めから社員旅行に行かないつもりであるのならば、積立を断っておくことが大事なようだ。
有休を使用しての社員旅行は「計画付与」なら適法
では、有休が消化されてしまうのはどうなのだろうか。労使協定で定められている場合、年次有給休暇の日数のうち5日を超えた部分については会社が一方的に有休の日を決める計画付与を行うことができる。そのため、「それを利用していれば適法」であるという。
また、社員旅行が休日に行われる場合、強制されているものであれば、「業務の性質」を持つため、労働時間に含める必要が生じる。
「土日休みの会社が土日に旅行に行くのであれば休日出勤扱いや振替休日などで対応する必要があります」
しかし、一般的に参加は任意となっていることが多く、休日に社員旅行が行われても振替休日等で対応する必要は企業にはないという。社員旅行の日程については労働者の希望を通すことは難しいのが現状のようだ。
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