2016年06月23日 11:02 弁護士ドットコム
大学生になって、一人暮らしやアルバイトを始めた人も多いだろう。行動範囲や自由に使えるお金は一気に増えるが、社会との接点が増えれば増えるだけ、トラブルに巻き込まれる可能性も高くなるもの。そんな大学生が知っておきたい法律知識を、日本女子大学家政学部の細川幸一教授(消費者法・消費者教育)が「大学生が知っておきたい 生活のなかの法律」(慶応義塾大学出版会)にまとめた。
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学生生活に限らず、「結婚生活」、「健康と高齢化への対応」など、ライフステージごとに関係する法律知識を網羅したのが本書だ。「学生生活」の項では、「ブラックアルバイト」「恋人間のDV」「SNSトラブル」「ゼロ・ゼロ物件に注意」など身近な問題を取り上げている。
たとえばアルバイトでありがちなのが、15分や30分単位で賃金を計算される方法。15時5分に仕事を終えて、「うちは15分刻みだから、15時15分まで働いていけば給料が出るよ」なんて言われたことはないだろうか。だが、本書によれば「賃金は法律上は1分単位で計算されなければいけません。2年間はさかのぼって全額請求ができる」のだそう。
また、「DV」と聞くと、殴る・蹴るなどの暴力行為を想像するかもしれない。しかし、「携帯電話の着信履歴やメールのチェック、交友関係や行動の監視など、相手の気持ちを考えずに、自分の思いどおりに支配したり束縛したりしようとする態度や行動もDVに」なると、本書では指摘している。
そう言われて、初めて自分が「被害者」であることを知る人もいるかもしれない。自分がこれらの行為を受けている、あるいは自分自身がそういう行為をしてしまっていると思い当たれば、内閣府のDV相談ナビなどへ相談するといいだろう。
本書のオビに書かれたコピー「法律は知らないものには味方しない!」という言葉が身にしみる。大学生に限らず、その親、そして新社会人にもこうした知識を必要とする人は多いのではないか。(ライター・吉田彩乃)