2016年06月22日 15:31 弁護士ドットコム
「スロットだけで生活してるけど質問ある?」。定職にはつかず、パチスロで生計を立てているという人物の投稿がネットの掲示板で話題となった。
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投稿者は、一定ゲーム数を消化すると必ずボーナスを獲得できる「天井」というシステムが狙える台を選んで立ち回っている。月々パチスロで30万円程度の利益がでており、時給に換算すると、1500円程度もうかっている計算だという。
投稿者は、「スロットが楽しくて仕方ないw遊んで金を得れるなんて最高だよ」と報告していたが、定職にはついていないため、税金や健康保険は支払っていないという。
「所得税払わないと脱税だぞ」という意見も寄せられていたが、パチスロで得た収入であっても、税金を納める必要はあるのだろうか。また、かかるとすれば、その額はどのように算定すればいいのか。李顕史税理士に聞いた。
「パチスロで得た収入であっても、必ずしも税金を納める必要はありません。そもそも、パチスロは競馬や競輪などと違い、『娯楽』と位置づけられています。
パチスロ店で直接換金せずに、特殊景品等と交換し、交換所に持ち込みます。そこで初めて現金化されるのです。
パチスロを遊戯して、結果として現金を得たとしても、得た現金が年間20万円以下なら、一時所得として申告しないことが考えられます。これが税金を納めなくてもよい根拠です」
李税理士はこのように述べる。投稿者のようにパチスロで生計を立てているという人はどう考えればいいのか。
「話は違ってきます。反復・継続的にパチスロで稼ぐことは、『雑所得』にあたる可能性があると考えられ、雑所得が20万円を超える場合は、確定申告をする必要があるからです。
以前、競馬の馬券を大量購入した人の『外れ馬券』が経費にあたるかという点が争われた裁判が話題になりました。この裁判においても、『反復・継続的』に馬券を購入したことから、競馬で得た利益を雑所得と認めました。
今回のパチスロのケースについても、利益をあげる目的で、反復継続してパチスロを日々行っているようですから、雑所得と認定される可能性があると考えられます。
パチスロで得た利益が『雑所得』にあたる場合、特殊景品等を通して換金した額とメダルを購入した額などを、購入日時、店舗ごとにメモしておく必要があります。
個人で商売をしてる人にも帳簿の作成は義務付けられていますから、パチスロで生活する人も同様です。1年間の利益を計算して、確定申告するものと考えられます。
税金の他にも、国民健康保険や国民年金を支払う場合があるので、注意してください」
李税理士はこのように述べていた。
【取材協力税理士】
李 顕史(り・けんじ)税理士
李総合会計事務所所長。一橋大学商学部卒。公認会計士東京会研修委員会副委員長。東京都大学等委託訓練講座講師。あらた監査法人金融部勤務等を経て、2010年に独立。金融部出身経歴を活かし、経営者にとって、難しいと感じる数字を分かりやすく伝えることに定評がある。また銀行等にもアドバイスを行っている。2016年6月に「各種法人の?に答える 現場が知りたいマイナンバー実務対応」(清文社)を刊行。
事務所名 : 李総合会計事務所
事務所URL:http://lee-kaikei.jp/
(弁護士ドットコムニュース)