「就活長期化」などの問題もあったものの、売り手市場といわれ、就職内定率は過去最高となった2016年入社の新入社員たち。景気も上向きなため、さぞ明るい未来を思い描いているのだろうと思いきや、そんなことはないようだ。
6月20日に日本生産性本部が発表した「2016年度 新入社員 春の意識調査」で、社会人生活で不安と期待どちらが大きいか聞いたところ、「不安」と答えた人が52.4%。2011年に同項目を設問に加えて以降、はじめて「不安」が「期待」を上回る結果になった。
すばらしいアイデアを思いついても「先輩の顔をたててだまる」39.6%
調査は3月下旬~4月中旬にかけて、同本部が行った新入社員教育プログラム等の参加者に対して実施。1951人が回答した。調査結果からは新入社員たちが社会人生活に不安を抱く分、安定志向が強い様子が垣間見える。
昇格について聞いたところ、「年齢や経験によって、平均的に昇格していく職場」を好む人の割合が42.3%と過去最高になった。また、「人より多く賃金を得なくとも、食べていけるだけの収入があれば十分だ」と考える人も39.7%とこちらも過去最高をマークした。
社内で円満に仕事をしていくためか、自分の意見よりも先輩や上司に気を遣うべきと考える傾向も強いようだ。「上司も加わったミーティングの席ですばらしいアイデアを思いつきましたが、すぐ上の先輩と意見が対立しそう」という場面でどのような行動を取るか聞いたところ、「先輩の顔をたててだまっている」が39.6%(2000年以降最高)。
また、「上司から会社のためになるが、自分の良心に反する手段で仕事を進めるように指示」された場面でどのような行動を取るか聞いたところ、「指示のとおり行動する」が45.2%。2007年にこの質問項目が追加されて以降最大になっている。
マニュアルにない仕事に直面したら…「先輩や上司に聞く」73.6%
職場の人間関係をよほど重視しているのだろうか、職場の飲み会と友人との飲み会が被った際、どちらを取るか聞いた質問では、84.1%が「職場の飲み会」を選択した。これも2000年以降最高で、2015年は59.7%だったため、大幅に上げていることになる。
とはいえ、やはりワーク・ライフ・バランスは意識しているようだ。「残業が少なく、平日でも自分の時間を持て、趣味などに時間を使える職場」を好む割合は74.7%で過去最大だった。
また、どうやら今年の新入社員に対しては仕事の指示を詳細に伝えることが求められそうだ。「仕事の手順は、細かいところまで決めておいて欲しい」と答えた人は57.2%。あわせて、仕事の最中に研修で教わったマニュアルに書かれていないことが発生した場合、自分で工夫するのではなく、「すぐにストップしてあとは先輩や上司に聞く」と答えた人が73.6%。どちらも2000年以降で最高の割合になっている。
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