6月18~19日に開催された第84回ル・マン24時間耐久レースは、悲願の初勝利に向けてトップを快走していたアンソニー・デイビッドソン/セバスチャン・ブエミ/中嶋一貴組5号車トヨタTS050ハイブリッドが、レース残りわずか6分でスローダウンを喫しストップする悲劇の幕切れとなったが、レース後、トヨタからレースに関する公式リリースが出された。
これまで4回の2位フィニッシュを果たしながら、いまだル・マン24時間での勝利を飾ったことがないトヨタ。『トヨタよ、敗者のままでいいのか』のキャッチフレーズを掲げ、昨年の惨敗以降いちからパワーユニットをはじめマシンを作り直し、必勝の思いで臨んだ2016年のル・マンは、まさかの幕切れとなった。
中嶋一貴がアンカーを務めた5号車はレース後半ずっとリードを保ち、最後は秒差で争っていた2号車ポルシェ919ハイブリッドもピットインを行い、1分半ほどのマージンを保ちチェッカーに向けひた走っていた。
しかし、チェッカーフラッグまで残り6分のユノディエールで、マシンは突如変調をきたし、メインストレートでストップ。一貴はシステムを再起動するなど奮闘を試み、最後はふたたび走り出しチェッカーを目指したが、チェッカー周の規定である6分以内に1周を終えることができず、最終的には完走扱いにもならなかった。
レース後、トヨタからは英語版、日本語版のプレスリリースが発表されたが、英語版で「2017年に向け「問題の原因を特定する」とされているほかは、トラブルに関する発表はなかった。
ドライブしていた一貴は、「まず、チームの皆にありがとうと言いたいと思います。TS050ハイブリッドは運転しやすく、すべてはうまくいっていました」とコメントを残した。
「レースの終盤、わずか20秒うしろをポルシェ2号車が追い上げてきましたが、うまくペースを作ることができ、心配はしていませんでした。しかし、2周を残したところで万事休す。トロフィーを手にすることができなくなりました」
「最終周に走リ出すと、マーシャルやファンはとても温かく迎えてくれて、感情が高ぶるのを覚えました。来年こそトロフィーを獲得しに帰ってきます」
また、佐藤俊男チーム代表はレースについてこう振り返った。
「昨年から今回のル・マン24時間レースに向けて必死に努力を重ねてきたチームをとても誇りに思います。また、トヨタ東富士研究所、ケルンのTMG(トヨタ・モータースポーツGmbH)関係者の方々には深く感謝を申し上げます」
「今日の結果については言葉に表すことができません。ひと言で言えば“無念”かもしれませんが、我々は勝利の固い決意のもとに、さらに強くなってここに戻ってくることを誓います」
この5号車のトラブルにより、最終的に3番手を走っていたステファン・サラザン/マイク・コンウェイ/小林可夢偉組が2位となったが、これで5回目の2位。可夢偉は「残念ながら2位という結果は、望んでいたものではありません。5号車についてはドライバー、スタッフ、エンジニアの悔しさはとてもよく分かります。彼らは序盤のトラブルを克服して上位争いに復帰し、勝利に値するレースを戦いました」と語った。