F1初開催となるバクー・シティ・サーキット、メルセデスのニコ・ロズベルグが初代ウイナーとなった。一度も首位を譲らずポール・トゥ・ウイン、ファステストラップも記録して今季ロシアGPに続いて、キャリア2度目のグランドスラムを達成。今季5勝目、ルイス・ハミルトンに対するリードを24点と広げている。
第8戦ヨーロッパGPの決勝レースは、気温33度、路面45度のコンディションで幕を開けた。スタートで懸念された大きな波乱はなく、ロズベルグがポールポジションからトップをキープ。グリッドそのままの順番でダニエル・リカルド、セバスチャン・ベッテル、キミ・ライコネンと続き、ギヤボックス交換で7番手に降格となったセルジオ・ペレスが5番手まで上がっている。
予選でクラッシュして10番手から巻き返すことになったハミルトンは、思うようにペースが上がらない。パワーユニットにトラブルを抱えていたようで、無線で何度も解決法を問いただすが、現在のルールでは、チームから情報を与えることができない。結局、ハミルトンは5位で走りきるのがやっとだった。
2位はフェラーリのセバスチャン・ベッテル。チームが、早めにピットインしたダニエル・リカルドを警戒して、すぐピットへ入るように指示したものの、ベッテルは「まだペースは良い」と言って、自らの判断で20周目までステイアウト。キミ・ライコネンは、走行中にピットロード入口の白線を越えたため、5秒ペナルティ。チームメイトのベッテルを先行させ、終盤まで3位を走行していたが、ファイナルラップで逆転を許してしまった。
ライコネンはチェッカー後に5秒のタイム加算が決まっていたため、背後につけていたペレスは、そのままゴールしても表彰台だったが、最終周の1コーナーで勝負に出る。コース上でライコネンを抜き去り、名実ともに3位でフィニッシュ。フリー走行3回目でクラッシュしながら予選2位に入り、5グリッド降格から自力で表彰台を勝ち取った。週末を盛り上げた主役のひとりに、表彰式で大きな歓声が送られる。
レッドブルはリカルド、マックス・フェルスタッペンともにスーパーソフトからソフトへ交換してからペースが上がらず、2度目のストップ。ミディアムタイヤに交換したあとは復調したが、リカルド7位、フェルスタッペン8位という結果に終わる。
マクラーレン・ホンダはフェルナンド・アロンソが5周目、ジェンソン・バトンが6周目と早々に1回目のピットイン。スーパーソフトタイヤからソフトに交換し、ともに再度ソフトへと交換する2ストップで苦しい戦いとなった。バトンは11位で完走したものの、アロンソはシフトにトラブルを抱えて42周でリタイアとなった。
予選7位のダニール・クビアトは序盤でガレージに入り、6周リタイア。決勝に向けてギヤボックスを交換し、18番手からスタートしたカルロス・サインツJr.は「サスペンションか他の何かに問題がある」と訴えて、32周目にストップ。これでトロロッソは2台ともトラブルで戦列を去ることに。
マノーのパスカル・ウェーレインは「ブレーキが壊れた」と1コーナーのエスケープへ逃れて、39周でストップ。4人のドライバーがリタイアを喫している。