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トヨタ初勝利の夢、残り3分で破れる。ル・マン24時間はポルシェ2号車が大逆転勝利

2016年06月19日 22:41  AUTOSPORT web

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ピットを逆走しポディウムに向かう2号車ポルシェ
第84回ル・マン24時間耐久レースは6月19日(日)、長き戦いのチェッカーフラッグが振られた。残り6分まで首位を快走していた5号車トヨタTS050ハイブリッドにまさかのトラブルが発生し、僅差で首位を争っていた2号車ロマン・デュマ/ニール・ジャニ/マルク・リエブ組2号車ポルシェ919ハイブリッドが大逆転優勝を飾った。

■残り3分でまさかの逆転劇。トヨタTS050ハイブリッドにまさかのトラブル
“世界三大レース”のひとつであり、これまで多くの日本メーカー、日本人ドライバーが挑んできた世界最高峰の耐久レースの歴史に、中嶋一貴駆る5号車トヨタTS050ハイブリッドが新たな1ページを加えようかとしていた瞬間だった。残り時間は6分。あと1周回れば悲願の優勝はトヨタの手に入っていた。

「ノーパワー! ノーパワー!」

 快調にドライブしていた一貴から、悲痛な無線が飛ぶ。長き直線のユノディエールを走っていた5号車トヨタは、なんらかのトラブルが起き時速200km以上上がらなくなる。一貴はなんとか車速が落ちるTS050ハイブリッドをメインストレートに戻すが、1周後に栄光のチェッカーが待っているはずのフラッグタワーの下で、ゆるゆるとスローダウン。その横を、2号車ポルシェが駆け抜けていった。24時間レースの残り時間は3分。衝撃的な逆転劇となった。

 レースはスタート前の雨、そして近年覇権を握ってきたアウディ勢の相次ぐトラブル、1号車ポルシェの脱落等波乱の展開となったが、惨敗に終わった昨年からマシンを大幅に作り直してきたトヨタは、抜群の信頼性と燃費、ストレートスピードで首位を争い、17時間後から5号車がトップを奪うと、2号車ポルシェとの僅差の争いを展開。終盤戦に向け5号車トヨタが30秒前後リードを奪い、残りわずかの時間となりトヨタのピットは祝勝ムードに包まれていたが、まさかの結末となった。

 一貴の5号車トヨタは最終的にチェッカーを受けることができず。2位はステファン・サラザン/マイク・コンウェイ/小林可夢偉組6号車、3位はトラブルに苦しんだルーカス・ディ・グラッシ/ロイック・デュバル/オリバー・ジャービス組8号車アウディR18という結果となった。

■アルピーヌ、フォード。LMP2/GTEプロは古豪が復活勝利を遂げる
 LMP2クラスは、ハイペースで逃げ切ったグスタホ・メネゼス/ニコラス・ラピエール/ステファン・リケルミ組36号車アルピーヌA460・ニッサンが優勝を飾った。クラス優勝ながら“アルピーヌ”の名を冠するマシンの勝利は1978年のアルピーヌ・ルノー以来となる。ラピエールは2年連続のクラス優勝となった。

 このクラスには日本人ドライバーが3名参加したが、チェッカーを受けたのは中野信治が乗り込み、クラス18位でチェッカーを受けたレースパフォーマンスの34号車オレカ03R・ジャッドのみ。平川亮が乗り込んだティリエ・バイ・TDSレーシングの46号車オレカは241周リタイア。松田次生が乗り込んだKCMGの47号車オレカは、電装系のトラブルでこちらも116周リタイアとなっている。

 LMP1同様僅差の争いとなったLM-GTEプロクラスは、ジョーイ・ハンド/ディルク・ミューラー/セバスチャン・ブルデー組フォード・チップガナッシ・チームUSAの68号車フォードGTが、82号車フェラーリ488 GTEとの争いを制し優勝を飾った。1966年のフォードGT40の初優勝から50年を勝利という最高の形で祝っている。

 LM-GTEアマクラスは、スクーデリア・コルサの62号車フェラーリ458が優勝。澤圭太が乗り込んだクリアウォーター・レーシングの61号車フェラーリはクラス4位、山岸大が乗り込んだ50号車シボレー・コルベットはクラス8位でレースを終えた。