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世界中で「親と同居する若者」が増えている! 原因は不況なのか、精神的な未熟さなのか

2016年06月19日 16:40  キャリコネニュース

キャリコネニュース

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「いい歳をして実家暮らしの社会人は、親に甘えすぎているのではないか」――。日本では根強い考え方ですが、世界的な統計で見ると、親と同居する若者の存在はそう珍しいことではないようです。

米シンクタンクのピュー・リサーチセンターの調査によると、米国で親と同居する若者の割合は2014年に32.1%となり、1940年以来初めて増加したそうです。5月24日付のFACTANKに、ドリュー・デシルバー氏が寄稿しています。(文:夢野響子)

欧州では男性の方が女性より同居率が高い

この傾向は、いわゆるリーマン・ショック前後の大不況の結果だけではなく、米国に限ったことでもないと記事は論じます。米国以外の先進諸国でも、長期間にわたって親元に住む若者の数は確実に増えているというのです。

EU統計局のEurostatによると、2014年には欧州連合の加盟28カ国全体で、18~34歳の若者の約半数に当たる48.1%が親と同居していました。Eurostatのデータは個々の国によって集められたもので、米国調査に匹敵するものではありませんが、欧州の同居率は米国よりもかなり高めなようです。

Eurostatによると、親との同居率は男性が54.4%、女性が41.7%で、男性の方が女性よりも高くなっています。これは親もとでは家賃がかからないだけでなく、食事も洗濯もしてもらえるという理由からでしょうか。

なお、これらの数字には、一度も親元を離れたことのない人と、大学や仕事のためにいったん独り暮らしした後に戻ってきた人の両方が含まれているようです。

欧州の場合は、地域別の違いも見られます。北欧諸国はデンマークの18.6%を皮切りに同居率は低く、南欧と東欧諸国ではかなり高い率を示しています。旧ユーゴスラビア共和国のマケドニアでは、18~34歳のなんと72.5%が親と同居しています。

もともと南欧東欧には、結婚後も親の近くに暮らす文化があり、北欧では逆に18歳で親から離れるという文化的な違いがあるようです。

日本の同居率の上昇は、世界的にも大きい

親との同居率は、時代によって変化しているようです。米国では1940年には35%と高い割合を示していましたが、これをピークに1960年に20%にまで減少した後、2014年には再び32.1%まで増加しています。

欧州諸国では2009~2013年の不況後、親との同居率が上昇しました。カナダの国勢調査でも20~29歳の成人の親との同居率が、1981年の26.9%から1991年には32.1%に上昇し、2011年にはさらに42.3%まで上がっています。

オーストラリアでは18~34歳の若者の同居率が、1976年の21%から2011年には29%に上がっています。日本でも20~34歳の若者の同居率は、1980年の29.5%から2012年には48.9%に上がっています。特に日本の上昇率は、世界的にも大きいようです。

このことから、若者の親との同居率が上昇するのは「経済的な困難」によるものと見られています。IT化で仕事の自動化や海外流出が進んだのと同時に、不動産価格の高騰が重なったためと見る人もいるようです。

読者からは「若者が精神的に未熟になっており、成長して独立する年齢が30歳以降に押し上がったからではないか」という指摘もあります。いずれにしても、困った時に頼りになるのは、どこの国でもやはり親ということでしょう。

(参照)In the U.S. and abroad, more young adults are living with their parents(Pew Research Center)

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