最低空気圧の指定値が高すぎるとの批判を受けて、ピレリは初開催のバクーでのF1ヨーロッパGPの最終プラクティスを前に、指定空気圧の変更に同意した。土曜のフリー走行3回目からは「21psi」に引き下げられる予定だ。
金曜日にロマン・グロージャンは、ピレリが「22psi」とされているリヤタイヤの空気圧を見直すことを望むと発言し、プラクティス終了後にはルイス・ハミルトンも指定空気圧は「とんでもなく」高いと語った。
「今回は過去最高の空気圧が指定されていて、この週末を迎える前から心配はしていた」と、ハミルトンは言う。
「彼らはリヤの最低空気圧を22psiまで上げてきた。いままで、このタイヤでこんな空気圧が指定されたことはなかったし、実際のところ、とんでもなく高い空気圧だ。まあ、走れないわけではないけどね。だから、空気の入れすぎで破裂でもしない限り、僕らはこの指定値で、できることをやるだけだ」
だが、ピレリのレーシングマネージャー、マリオ・イゾラは、金曜の夜にデータを分析して、必要があれば指定空気圧を変えると述べた。
「これからデータを分析し、実際のテレメトリーデータをシミュレーションの値と比べてみた上で、指定値を変更する必要があるかどうかを検討する。キャンバーの指定値を変えるつもりはない。すでにチームはこのキャンバー角でマシンのセットアップをしているからだ。だが、空気圧を変更する余地があるかどうかについては、もう少し理解を深める必要がある」
「検討の結果、指定空気圧を下げるかもしれないし、逆に上げるかもしれない。もし私たちがこのサーキットの苛酷さを過小評価していたのなら、空気圧をさらに上げざるをえないだろうし、過大評価していたのなら、指定空気圧を下げる可能性もある」
「これまでもFP2の終了後には同様の分析をしてきたが、指定空気圧を変更した事例は一件もなかった。だが、今回が指定値の変更を余儀なくされる初のケースになるかもしれない。ここでは過去のデータが何もなかったからだ」
また、金曜のFP1とFP2の間に予定されていたGP2の予選は、FP2終了後に延期された。FIAのレースディレクター、チャーリー・ホワイティングが、縁石の施工状態を確認する必要に迫られたためだ。この問題について、イゾラは午前のプラクティスセッションで、多くのクルマにタイヤカットが起きていたと語った。
「FP1の終盤に使われたタイヤの大部分で、左リアに切り傷が見つかり、傷はすべてほぼ同じような位置についていた。走行したマシンの90%でこうした傷ができていたため、すぐに原因を調査する必要があるのは明らかだった」
「チャーリーは縁石を固定する小さなボルトが2カ所で緩んでいたのを発見した。それはすぐに修復されたが、GP2の予選のスケジュールは変更せざるをえなかった。これについては、金曜の夜のうちに完全な解決手段が取られると思う」
「その後、FP2でタイヤをチェックしたところ、タイヤのダメージは一切なかった。縁石に関しては、もう問題はないということだ」
ニコ・ロズベルグは、午前のプラクティスで縁石の状態について批判をしていたが、その後、すばやく修正の措置が取られたことを賞賛した。
「僕のタイヤにも大きな切り傷があり、あと少しで貫通しそうな深い傷だった。あれはかなり危険だったと思う。でも、彼らはすぐに問題を解決したようだ。いい仕事をしてくれたよね」