トップへ

「保育士の処遇改善はある種の闘争」「団結して声を」駒崎氏ら待機児童対策を議論

2016年06月18日 10:41  弁護士ドットコム

弁護士ドットコム

記事画像

保育園に入りたくても入れない、待機児童の問題について議論するシンポジウム「待機児童対策を考える」(主催:NPO法人万年野党)が6月13日、東京・丸の内で開かれた。シンポジウムには、認定NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹氏、学習院大学経済学部教授の鈴木亘氏、昭和女子大学グローバルビジネス学部学部長の八代尚宏氏が登壇し、待機児童問題を解消するための対策を議論した。


【関連記事:18歳男子と16歳女子 「高校生カップル」の性交渉は「条例違反」になる?】



●「子供と遊んでいるだけで給料がもらえていいね、と言われた」


鈴木氏は、「現在言われている待機児童は氷山の一角にすぎない」と述べた。鈴木氏によると、厚労省の発表では、保育園に入れない子どもの数は昨年の10月時点で約4万5千人。ただしこの数字は、保育園に申し込んでいるが、入所できていない子どもの人数であって、最初から諦めて申込みさえしていない「潜在的待機児童」を含めると、約80万人にのぼるとみている。



八代氏は、韓国では0~5歳は完全無償教育を実施していることを例に挙げ、日本も介護保険と同様に「保育保険」を設けるべきだと述べた。



駒崎氏は、待機児童問題の要因の一つとして、保育士不足があると指摘した。駒崎氏によると、全国の保育士の数は約35万人だが、保育士資格があるのに保育士にならない人は、約70万人にのぼるという。資格を持っていながら保育士にならないのは「処遇の低さ」が要因だとして、自らも保育園の経営に携わっている立場から、保育士の処遇改善の必要性を訴えた。



シンポジウムに参加した現役保育士の男性からは「現場の仕事には辛いこともあるのに、人からは『子どもと遊んでいるだけで給料がもらえていいね』と言われることもある。どうしたら保育の仕事がもっと社会的に地位を得られるのか。保育の仕事が世の中から認められるようになれば、賃上げなどの政策にもつながるのではないかと思う」という意見があがった。



この発言を受けて、駒崎氏は、「これはある種の闘争。社会全体で取り組んでいくべき問題であると同時に、保育士同士でももっと団結して声をあげるべき」と述べた。


(弁護士ドットコムニュース)