6月の面接解禁とともに街でリクルートスーツ姿の学生を目にする機会も増えた。もはや就活生にとって当たり前の服装になっているが、2014年に国際教養大(秋田市)が同大の学生にリクルートスーツ非着用を推奨する宣言を出し、話題になった。
その後、実際就職活動に変わりはなかったのだろうか。同大学キャリア開発センターの三栗谷俊明センター長に聞いた。
中には「最終面接だけは黒のスーツで来るように」要請する企業も
「着用を禁止したわけではないので、学生によってはリクルートスーツを着て就職活動をする人ももちろんいました。着用しない学生では、男性は『スラックスにシャツ』、女性では『スカートとブラウス』という服装が多かったと思います」
と三栗谷氏は話す。企業側については、同大の学生にこれまで内定を出してきた約180社から、学生がリクルートスーツを着ないことについて了承を得ていた。「予想以上に金融系の企業から受け入れられた」と振り返る。就職に強いことで知られてきた同大だが、内定を出す企業や内定率にも変化はなかったという。ただ、中には「最終面接だけは黒のスーツで来るように」と要請してくる企業もあった。
三栗谷氏は、そういった企業の体質に原因があるのではないかと話す。
「役員の方はスーツ着用が必須だとは思っていないはずです。人事がスーツ必須だとサラリーマン的な考えで言ってきたのだと思います。実際、スーツ着用と言ってきた企業にアンケートをとり、会社としてのコメントを求めると『会社ではスーツ着用と決まっていません』と返ってきたケースがありました」
そして、このような考えが未だにまん延していることに、こう疑問を呈した。
「文部科学省の就職についての申し合わせや経団連の倫理憲章でクールビズについて触れているのにかかわらず、それが形骸化してしまっています。文書に謳っているのだから、受け入れない、根付かないのはおかしい」
「人に会うのに相応しい服装を自分の頭で考えることが必要」
また、「学生が自分で選んでリクルートスーツを着るのならいいのですが、商業ビジネスになってしまっていることが問題です」と指摘した。特に大学側が「これを買えば安心」とばかりに販売したり着方を教えるのは「ナンセンス」だと否定した。
リクルートスーツ非着用のすすめをした背景には、2016年卒就活生の面接解禁が夏にあたっていたという背景もあったが、2017卒就活生にも同様に着用しなくてもいい旨を伝えている。今後、就活の時期が変更になることがあってもそれは変わらないという。三栗谷氏にリクルートスーツ着用の是非を聞いたところ、
「リクルートスーツを着用する、しないと100か0にするものではないと考えています。学生も『周りがリクルートスーツだから』と安心するために求めてしまう面がありますが、就職活動は自分を売り込む機会。人に会うのに相応しい服装を自分の頭で考えることが必要なのではないでしょうか。それが大人になることの第一歩だと思います」
と話していた。
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