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『ヴェネチア・ビエンナーレ』日本館展示プラン発表、作家は岩崎貴宏

2016年06月16日 20:01  CINRA.NET

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『リフレクション・モデル(厳島)』のためのドローイング 2016年 Drawing for Reflection Model 2016 ©Takahiro Iwasaki, Courtesy of ARATANIURANO
2017年5月13日からイタリア・ヴェネチアで開催される『第57回ヴェネチア・ビエンナーレ国際美術展』の日本館展示概要が発表された。

日本館の展示は岩崎貴宏による『Upside-down Forest / 逆さにすれば、森(仮)』。キュレーターは金沢21世紀美術館のキュレーターである鷲田めるろが務める。

1975年生まれの岩崎貴宏は、身の回りにあるものを素材に用いて建物やクレーン、鉄塔などの立体作品を作るアーティスト。『Upside-down Forest / 逆さにすれば、森(仮)』は、山の風景に囲まれた工業地帯のインスタレーション『アウト・オブ・ディスオーダー(工業地帯モデル)』、机の上に海洋資源開発の掘削装置と島々が浮かぶ『アウト・オブ・ディスオーダー(海洋モデル)』、厳島神社をモチーフにした『リフレクション・モデル(厳島)』、本を積み重ねてバベルの塔のような構造を作る『テクトニック・モデル』という4つの新作を中心とした展示プランになっている。

■岩崎貴宏のコメント
私は、広島で生まれ育ち、現在も広島を拠点に作家活動を続けています。
今回、キュレーターの鷲田めるろさんより、展示プラン作成に際し、日本館は展示しにくいと思われているかもしれないが、独特な建築の面白さと対話した展示を目指したいという、なんだかドキドキするようなお話しをいただきました。
改めて日本館の断面図を見ますと、1階のピロティから伸びた4本の柱は、そのまま2階、展示室の壁になっており、1階の天井でもある2階の床が、まるで海中と地上を分ける境界のように感じました。
潮汐によって視点を変化させる広島の厳島神社や、ヴェネツィアの街のように、海抜0mから眺める風景を、1階の天井中央に空いている穴から見たいと考え、プランを制作しました。
一つの展示を、見上げる/見下ろすという異なる視点を作ることで、透視図法のように一つの視点による整合性のとれた空間ではなく、複眼的に展開される空間体験を生み出したいと思っています。
鳥瞰的なスケールの把握や、虫瞰的な細部の観察、魚瞰的な空間の歪みといった視点の切り替えは、鑑賞者に息を殺してしゃがませたり、近づいたり離れたりと、身体と眼球を巧みに動かすことを自然と促します。また人工と自然、秩序と混沌、歴史と現在といった相違点がお互いを補完しつつ、事象のはかなさや、移ろう時間の流れ、トロンプ・ルイユ的な知覚の変換作用といった点にも気付いてもらえればと思います。
そして、なによりも楽しんでいただける展示が出来ればと思っています。