メルセデスほど大がかりではないものの、フェラーリもF1カナダGPにアップグレード・パッケージを持ち込んでいた。事前の噂ではノーズが新しくなると言われていたが、そもそも“煙幕”だったようだ。
フェラーリがモントリオールで走らせたクルマは、フロントウイングのディテールに変更があり、フロントブレーキダクトとサイドポッドの出口部分にも手が加えられていた。さらに、リヤサスペンションまわりが変わり、エンジンの開発トークンを使ってターボチャージャーの設計も変更されている。
フロントウイングでは「r」形状の旗のようなベーンが追加され、その上端にはV字形の切り込みが復活した。こうした切り込みは、ロシアGPでフラップのデザインが変更されて以来、フロントウイングからは姿を消していたものだ。
エンドプレート外側の小さなフィンも変わっており、全長にわたってではなく、前半部分のみがエンドプレートに接している。こうしたフロントウイングの小変更と併せて、フロントブレーキダクトは空気の取入口の形状が新しくなり、その後方に取りつけられたフィンの配置も変わった。もっとも、いずれも大きな進化ではなくディテールの手直しにとどまる。
特にモントリオールに照準を合わせたと思われるのは、予想される涼しめのコンディションに適応しつつ、ドラッグの軽減を狙ったサイドポンツーン後端の形状変更だ。サイドポッド後端の上部をカットし、ボディワーク内側に少し段差をつけたパネルを設けたもので、カットすることによって低くなったサイドポッドから、パネルがホットエアを導き出す働きをしているようだ。