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ペットのウサギが治療で骨折 「動物病院」に43万円の賠償命じる判決

2016年06月16日 13:51  弁護士ドットコム

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ペットのウサギが動物病院で歯の治療を受けた際にアゴの骨を骨折し、その3カ月後に死亡したとして、ウサギの飼い主の女性が東京都品川区の動物病院に約134万円の損害賠償を求めていた裁判で、東京地方裁判所(手嶋あさみ裁判長)は6月16日、動物病院に約43万円の損害賠償を命じる判決を下した。ペットの医療過誤訴訟は増えているが、ウサギの医療ミスについて賠償責任を認めた判決は極めて珍しいという。


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●歯の切断後、ウサギのアゴの骨折が判明


訴状などによると、原告の女性は2011年12月11日、同動物病院を訪問し、ペットのウサギ(当時5歳5カ月)の歯の治療を依頼。動物病院の院長はウサギの臼歯を切断する処置を行った。治療後、女性がウサギにエサを与えても食べず、水を飲ませようとしても口からこぼれ落ちるようになったため、2日後に別の動物病院でレントゲン検査を行ったところ、下アゴの骨折が判明した。



そして、骨折から3カ月後の2012年3月30日、ウサギは尿の排泄障害が原因とみられる腎不全で死亡した。



2013年11月に提訴された裁判の中で、原告の女性は、動物病院の院長がウサギの歯を治療するために口を器具で開けたときに、誤って無理な力を加えた結果、アゴが骨折したと主張。死亡の原因についても、アゴの骨折によって、ウサギが水分を十分に摂取できなくなったためだとして、動物病院に対して、治療費や慰謝料など約134万円の損害賠償を請求していた。



一方、被告の動物病院は、ウサギの口を開ける器具の使用方法に問題はなく、院長の処置によってアゴの骨折が生じたとはいえないと主張。死亡原因についても、ウサギに既往症があったことや、適切な食事管理ができていなかったことなどが考えられ、ウサギの死亡と骨折の間に因果関係はないとしていた。



●動物病院の注意義務違反を認める


東京地裁は判決で、「骨折は、本件処置のうち開口器により本件患畜を開口させたことにより生じたものと認めるのが相当」と述べ、治療行為と骨折の因果関係を認めた。そして、動物病院の注意義務違反を認め、治療入院費や慰謝料など約43万円の損害の賠償を命じた。一方、ウサギの死亡については、治療行為との因果関係を認めなかった。



ペットの医療過誤訴訟に詳しい渋谷寛弁護士は「ペットの医療過誤訴訟は犬などの例があるが、ウサギはかなり珍しいと思う。裁判例のデータベースでも調べてみたが、私が見た限りでは、ウサギの医療過誤について争われた裁判は1件もなかった」とコメントしている。



(弁護士ドットコムニュース)