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結婚をほのめかすカレと避妊せず肉体関係、後で「既婚者」と判明…慰謝料請求できる?

2016年06月15日 10:02  弁護士ドットコム

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不倫する男性の口説き文句といえば「妻とは別れる」「うまくいっていない」が定番ですが、許せない手口の1つが、独身と偽ること。愛する男性を問い詰めたところ、「僕はバツイチで現在既婚者で子供2人いて下の子10ヵ月です」と白状されてしまった女性が、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに「貞操権を侵害」されたことを理由に、損害賠償請求はできるのか、と相談を寄せました。


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女性によれば、知り合った当初、男性は「バツイチのシングルファーザーで、一人娘が3歳」と言って、近づいてきたそうです。女性もシングルマザーだったことから親近感を持ち、交際がスタート。男性に「飲み屋で働いているから信用できない」と言われれば仕事を辞め、専門職に転職するために学校に通い始めたという女性。


週1で会い、結婚をほのめかされたために、避妊せずに肉体関係がありました。ただ「18時以降は連絡がつかない」「携帯2個持ち」「子供にも会わせてもらえず家にも上げてもらえず」という相手に徐々に不信感を持つようになったそうです。


「なんかおかしいよ?」という友人のアドバイスもあって、女性が彼を問い詰めたところ、冒頭のように既婚であることを認めたそうです。女性はその後すぐに別れたそうですが「絶対に許せません」として、慰謝料を請求できるかどうか聞いています。山口 政貴弁護士に話を聞きました。


 ●「違法性が強い」不倫とは?


法的には「貞操権」は、夫婦関係においての「貞操義務」(不貞行為をしない義務)をさすものですが、ご相談者のように、ご自身の「貞操権」(自己の意思に反して性的な侵害を受けない権利)が侵害されたとして、慰謝料請求をする際に使われることもあります。


交際相手(多くの場合男性)が既婚者であることを知っていれば交際しなかったのに、既婚者であることを隠されていたため交際を続けざるを得なかった。今回のようなケースは、感情的には許しがたい行為であり、高額な慰謝料を請求したいところです。


しかし、それだけでは、相談者の方が望むような「貞操権侵害」による慰謝料請求をすることは困難です。ただ、慰謝料請求ができる場合もあります。


たとえば「結婚を匂わせて長期間交際を継続した」、「既婚者の言葉を信じて勤務先を『寿退社』した」、あるいは「避妊せずに複数回性交渉をした」などの場合です。このような既婚者側に違法性が強いと思われる事案では、場合によっては慰謝料請求が認められる可能性があります。


本件では男性が結婚をほのめかし、女性が仕事を辞め、かつ避妊せずに性交渉があったことからすると、慰謝料請求が認められる可能性があります。


実際の裁判例ですが、既婚男性が独身女性に対して結婚していることを隠して交際を続けた事案で、慰謝料請求が認められています。この事例では、近いうちに結婚しようと伝えたり、独身女性の職場の上司や同僚に寿退社する旨を報告したりしていました。しかし最終的に既婚者であることが発覚しました。


この事案につき、平成27年1月、東京地方裁判所は男性側に対し、慰謝料100万円、弁護士費用10万円、計110万円を女性に支払うよう命じる判決を言い渡しました。




【取材協力弁護士】
山口 政貴(やまぐち・のりたか)弁護士
サラリーマンを経た後、2003年司法試験合格。都内事務所の勤務弁護士を経験し、2013年に神楽坂中央法律事務所を設立。離婚、婚約破棄等を専門に扱っており、男女トラブルのスペシャリストとしても知られる。
事務所名:神楽坂中央法律事務所
事務所URL:http://www.kclaw.jp/index.html