スウェーデンのツーリングカーレース、STCCスウェディッシュ・ツーリングカー・チャンピオンシップは6月16日に、来季からのTCR規定ツーリングカーへのスイッチを発表した。TCRが目指す数多くの国際&国内選手権への普及に名乗りを上げた、最初のメジャー選手権シリーズとなった。
各国の人気ツーリングカーシリーズは、すでにいくつかのクラス分けや独自規定を持っているが、STCCはそのなかでも最高のプロフィールを持つ選手権とみなされていた。
同シリーズの最高経営責任者であるヨナス・ランディンは、「我々は、北ヨーロッパで最高のモータースポーツシリーズのひとつとして、さらなる選手権の競争を持ち込み、高めることのできるレギュレーションを探していた」とコメントした。
「TCR規定は、今後数年間の長期プログラムを構築するための絶好の機会となるだろう」
先日のニュース(URL)でもお伝えした通り、現在のSTCCは2011年に選手権オーガナイザー、チーム・アソシエーション、そしてスウェーデンとデンマークのツーリングカー選手権の対立、合従によって生まれた選手権であり、現在は選手権名称を『TTA』と改称した時代に策定された独自規定に則り、フランスのコンストラクターであるソリューションFの製作した鋼管パイプフレーム製のワンメイクシャシーを使用している。
しかし、グリッドに並ぶマシンの数は年々減少傾向にあり、今季すでに行われた2ヒート制の2ラウンドでは、いずれも10台に届くか……といったエントリー数に落ち込んでいた。
■TCR規定導入とともに、スカンジナビア全体でシリーズを再構築
「我々は、現在のシリーズに『TCR』という新たな宝石でできた王冠を加えることができて喜んでいる」とは、元WTCC世界ツーリングカー選手権の最高責任者であり、TCRシリーズの生みの親であるマルチェロ・ロッティ。
「北欧諸国は、常に強力なツーリングカー選手権の土台と伝統を持っていた。私は、90年代のスーパーツーリング規定の時代を多くのファンが愛情を持って覚えていることを知っているし、最近ではS2000規定の時代も同様だね」
「つまり我々は、そうした成功を収めたシリーズを再構築するために、これから一緒に働くことになるだろう」
2013年シーズン以降、スカンジナビアン・ツーリングカー・チャンピオンシップは事実上、スウェーデン国内のみでシリーズが開催されてきた。17年以降もその状況は続くと見られるが、しかしランディンは将来的に真のリージョン(地域)選手権に進化するために、発展拡張していくことを願っている。
「デンマーク、ノルウェーとフィンランドのチームから多くの関心があり、同時に北欧ラリークロス(Nordic RallyX)のプロモーターとして、私たちの近隣諸国のファンやスポーツ当局との優れた関係を構築している。それゆえ、我々は今後のシリーズ拡大を容易に検討することができるだろう」
すでにTCR規定で選手権を開催しているアジア、ヨーロッパ、ベネルクスのシリーズはもとより、今後国際シリーズとしてドイツ、イタリア、ポルトガル、ロシア、スペイン、タイなどの他の選手権ともコンペティションの相互交流の可能性が開ける。さらに、ツーリングカーレース情報を掲載する『TouringCars.Net』は、日本でもふたつのプロモーターがTCRに関心を示していると伝えている。