長時間労働の問題が日々取りざたされる日本だが、その背景には「すぐ怒る人」の存在があるのではないかというツイートが話題になっている。6月10日、あるツイッターユーザーが以下の内容を投稿した。
「日本人は働きすぎっていう人、コンビニが夜11時に閉まったら怒るんだろ?電車が1時間に1本だったら怒るんだろ?デニーズ行って30分待たされたら怒るんだろ?Amazonが土日休みだったら怒るんだろ?蛇口ひねって水が出てこなかったら怒るんだろ?すぐ怒る人が沢山いるから皆休まないんだ」
今の人々が便利な生活を求める代わりに労働者の労働時間が長くなっていると考えているようだ。
「低料金で長時間サービスが当たり前の感覚になってる人が多い」
このツイートは約8500リツイートされ話題になった。確かに、日本のサービスやインフラ整備は世界でもトップクラスレベルに整っている。米誌「USニューズ&ワールド・レポート」が発表した2016年の「Overall Best Countries Ranking(総合的にベストな国ランキング)」で日本は60か国中7位。特に高く評価されているのは「企業家精神」で、この中には「発達したインフラ基盤」(10点中10点)や「熟練労働者」(10点中10点)の項目も含まれている。
日本のサービスが高水準なのは間違いない。その質が下がれば不満に思う人もいるだろう。投稿者の意見に対して、「低料金で長時間サービスが当たり前の感覚になってる人が多いのが、とても問題ですよね」と賛同する人もいた。
だが、投稿者の意見に疑問を呈す人も多い。店舗の営業時間やサービスが問題なのではなく、それを維持できるだけの人手が足りていないことが問題だと指摘している。
「営業時間の問題じゃなくて、人件費をケチりすぎてワンオペだったり時間外労働が多いのがヤバいんだってば」
「論理的につながらないね。従業員たくさん雇えば一人あたりの労働時間は減らせる」
「慢性的な人手不足の現場では無理」という声も
実際、人手不足は深刻だ。ニッセイ基礎研究所が2月24日に公表した「ニッセイ景況アンケート調査結果-2015年度下期調査」によれば、全産業のうち52.6%の企業が人手不足を感じているという。また、パート・アルバイトの人手不足を感じる割合が飲食では74.2%、小売では47.7%と高い。人手が足りていない分、労働者一人あたりの負担が重くなってしまっているのが現実のようだ。
だが、そうは言っても人手を増やすのが難しい職場も多い。そういった改善策が行えるのは、「代わりに働いてくれる人が十分いる場合のみ」なため、「慢性的な人手不足の現場では無理です」という人もいた。そのため、「労働の総量を減らせば営業時間を短縮せざるを得ません」と投稿者の主張に同意していた。
また、コンビニでアルバイトをしているという人は、「人が足らなすぎて夜勤から日勤までしたり、店長は休みが取れず30連勤ですね 正直夜の11時までで閉めたいですよ…」と投稿していた。
人手不足こそ最優先で解消すべき課題だが、それが難しいとなると営業時間を短くするしかないと現場の人は感じているようだ。だが、遅くまで働いている人からは、
「労働時間外で働きすぎだからコンビニが早く閉まったら困るんだ、電車が減ると困るんだ、空いた休日配達来ないと困るんだ」
という声も。サービスの質を保ちながら労働者の生活を守るため、今一度労働に対する根本的な働き方を見直す必要がありそうだ。
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