今週末開催されるF1ヨーロッパGPは、アゼルバイジャンの首都バクーの市街地コース「バクー・シティ・サーキット」が舞台となる。
アゼルバイジャンは、ヨーロッパとアジアのほぼ中間地点に位置し、カスピ海西岸に面した人口950万人(外務省HPより・2014年現在)の国。日本の約4分の1(北海道よりやや大きい程度)ほどの大きさで、首都バクーでは19世紀後半に油田が発見されて以降、経済成長率も上昇。カスピ海油田開発により現在世界中から資本が集まっており「第2のドバイ」とも言われている。
バクー・シティ・サーキットはヘルマン・ティルケにより設計され、全長6.001kmはスパ・フランコルシャンに次いで2番目に長く、ストップ&ゴー型のサーキット。反時計回りの51周で争われ、ロングストレートや90度コーナーなどを含んだ20のコーナーが設けられている。平均速度は211km/h、最高速度は340km/hとして、主催者はF1カレンダー中、最速のストリートサーキットになると予想している。中高速コーナーは比較的少なく、タイヤにはそれほど厳しくないものと見られている。
すでにマクラーレンのフェルナンド・アロンソが3月に、FIAのF1レースディレクターのチャーリー・ホワイティングらが先月視察に訪れており、作業の進捗を称賛するコメントを残していたが、あらためてホワイティングがコースや施設の完成度を現地で確認。問題なく初開催を迎えられると太鼓判を押した。
「先月、私が訪れたあとからの彼らの仕事ぶりには非常に大きな感銘を受けた。ほぼ完成状態を確認できたことに驚いている。我々は4~5時間かけてコースに関連したあらゆる施設を調査したが、本当に素晴らしい完成度だ。個人的にも、このような場所でレースが開催されることが待ちきれないよ」
ヨーロッパGPの公式大使に就任しているアロンソは「スピードはモンツァに匹敵するほど。チャレンジングなレイアウトで、自分のスキルを試すのが楽しみだ」と、バクー・シティ・サーキットの印象を語っている。
開催に向けて必要な準備は整っており、すべての工程が終わる6月16日(木)まで、ノンストップで作業が進められる予定だ。パドック施設をはじめ、FIA、FOM、チーム、サーキット関係者向けのオフィスはすでに完成しており、建物内の機材の設置なども最終段階に入っている。アスファルト舗装は完了、安全バリアの設置も95%が終了、残りは快適性や安全性を確認後、この数日ですべてが設置される。
6月14~16日の間はサーキット周辺の道路をクローズし、最終確認とレースに向けての装飾が施される予定となっている。グランドスタンドは9つのうちの8つが完成していて、5000人を収容するメインスタンドはカナダGPの週末に最後の工程が行われた。カスピ海に面しているF1ビレッジの工事も、現在仕上げに向けて急ピッチで作業が進められている。なお、週末にはクリス・ブラウン、エンリケ・イグレシアス、ファレル・ウィリアムスなどのアーティストが現地でライブを開催予定。華やかにF1初開催を演出する。