レッドブルのチーム代表、クリスチャン・ホーナーによれば、カナダGPでのマックス・フェルスタッペンとニコ・ロズベルグのバトルは、ルノーのパワーユニット(PU)が、どれほど大きく進歩したかを証明するものだったという。
フェルスタッペンは、レース終盤の数ラップにわたってロズベルグの激しい追撃にさらされたが、なんとか4位の座を守り切った。彼らの攻防は、バックストレートから最終シケインへの進入でアウト側からオーバーテイクを試みたロズベルグがミスを犯し、タイヤをロックさせてランオフエリアへ飛び出したことで決着がついた。
ルノーPUがパワーと信頼性の不足に苦しんでいた昨年のレースで、2台のレッドブルはいずれもトップから1周遅れでフィニッシュした。しかし、今季のルノー製PU(登録名はTAGホイヤーRB12-2016)の進歩もあって、レッドブルは5月のスペインGPで優勝し、モナコでもピットストップのミスがなければ勝利は確実だった。
ホーナーは、モントリオールの長いバックストレートでフェルスタッペンがロズベルグを抑え続けたことに言及し、「昨年までなら、彼(ロズベルグ)はインでもアウトでも、どちら側からでも楽に抜いていけただろう」と語っている。「逆に言えば、12カ月前なら、マックスはあのように防戦することはできなかったはずだ」
また、ホーナーはモナコで導入されたアップデートを含めたルノーPUの進歩について、「正しい方向へのステップ」であると評価している。「まだやるべきことがあるのは確かだが、このパワー勝負のサーキットで、1年前には周回遅れだったことと比べれば、ずいぶん良くなった。昨年の予選では1.5秒差だったのに、今年はわずか0.3秒の差でしかなかった。正しい方向へ進化しているのは間違いない」
「この先、フェラーリにとって有利なサーキットもいくつかあるだろう。そして、同様に私たちが力を発揮できるレースもあることを願っている」
■今後のレースにも大きな期待を抱くレッドブル陣営
昨年レッドブルとルノーの関係はひどく悪化し、一度はレッドブルが契約の打ち切りを通告したが、紆余曲折の末に結局“よりを戻す"形で2016年シーズンを迎えた。ホーナーによると、両者の関係は以前よりも強固になっており、さらに良い成績が続くことを期待しているという。
「いまは、とても良い状態にある。昨年、私たちの関係が緊張し、多くの論争とフラストレーションがあったのは確かだ。だが、それが変化への触媒になったのだと思う」
「実際そのポジティブな結果として、ルノーでは組織再編が行われ、多くの新しいスタッフを迎え入れた。(エンジン・テクニカルディレクターの)レミ・タファンは、彼を中心としたチームを築き上げ、誰の目にも明らかな進歩を実現した。ルノーがたどってきた、ここまでの道程を見る限り、今後も大いに期待できそうだ」