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「退職が認められず自殺」「娘が月200時間残業」 6月18日に過労死電話相談

2016年06月14日 11:12  弁護士ドットコム

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弁護士や医師、カウンセラーなど、専門家が過労死の予防措置や補償についてアドバイスする「過労死・過労自殺・パワハラ110番」全国一斉電話相談が、6月18日に全国32都道府県で実施される。過労死110番全国ネットと過労死弁護団全国連絡会議が毎年開いており、29回目。時間や電話番号の詳細は、過労死110番のHP(http://karoshi.jp/)で確認できる。


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昨年は173件の相談があり、そのうち過労死の予防相談が95件と半数を超えた。長時間労働とパワハラに関する悩みが多く、当事者だけでなく、家族から次のような相談もあったという。



「息子が深夜まで働いているが、タクシー代も出ないので、ホテルに泊まっている。『死にたい』というメールが届き、連絡がつかなくなっているので、心配している」



「娘の残業が月200時間を超えることが1年以上続いているが、転職先もなかなかなく、辞められない」



また、過重労働やパワハラで心身のバランスを崩した当事者や、自殺してしまった人の遺族から、補償についての相談も52件あった。



「職場のパワハラが原因で、息子が自殺した。公務災害の申請をしたが、職場がパワハラの事実を認めていない」



「会社に辞表を提出したが、認めてもらえず、2度目の辞表を提出した後に、行方不明になって自殺した」



など、こちらも切実な事例が多く寄せられている。



●過労死ライン80時間を超えにくい不規則労働者



過労死弁護団全国連絡会議の幹事長・川人博弁護士によると、仕事内容で分類した場合、近年は海外出張時の労災についての相談が増えているという。このほか、運送業やタクシー、サービス業などでみられる早朝と深夜に勤務し、昼間が中抜けになるような不規則な労働形態の人からの相談も多い。



「2001年に労災認定の基準が変わり、80時間の過労死ラインができた。9時・5時労働者は労災が認められやすくなったが、不規則勤務者は残業が80時間に満たないことが多く、認められづらい。そういうことで相談に来る人が最近目につく」(川人弁護士)



川人弁護士は、終業から始業まで一定時間を空ける「インターバル規制」の重要性を強調するとともに、「勤務体系が多様化している中で、労災認定の基準を見直す必要がある」と話していた。



(弁護士ドットコムニュース)