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姑に耐えられない!「夫がEDなのに私を責める」「料理をゴミ箱に」…離婚は可能か?

2016年06月14日 09:41  弁護士ドットコム

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結婚3年目で、「あたしたち夫婦には、子どもがいません。理由は、夫のEDです」という女性から、弁護士ドットコムの法律相談コーナーに質問が寄せられました。


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女性は結婚前からEDのことを知っていました。問題は、孫を強く望んでいる義母の存在です。「義母は主人の病気の事を知らず、あたしたち夫婦に子どもができないのは、あたしのせいと信じ込んでいます。そもそも、主人が性交渉をもてない身体なのだから、子どもなど出来るはずもないのですが」。


不満をもった義母から、嫌がらせをされることも。「あたしの作った食事を『何よ、こんなもの、食べられないわ』と言って、ゴミ箱に捨ててしまったりします」。そんな暮らしが続いたため、「もう、たえられません」という女性。


そこで、義母との関係悪化を理由に離婚を考え始めているようです。「離婚できますか? 慰謝料は取れますか?」と相談をしていますが、このような理由でも離婚は認められるのでしょうか?岡村茂樹弁護士に聞きました。


 ●「離婚回避で円満な関係の構築に向かうべきです」


義母との関係悪化を理由に、離婚を考えているようですが、離婚訴訟になった場合には、離婚請求は認められないケースだと思います。民法770条1項に定められた5つの「離婚原因」(浮気、暴力など)は存在しないと考えられるからです。


EDは、性交渉をするための十分な勃起が得られない場合や、勃起を維持できないために性交ができない状態ですが、これは本人の責任ではありませんし、このこと自体では、慰謝料発生の原因事実にはなりません。さらに言えば、結婚する時点で相談者はEDであることを知っており、それを受け入れて結婚生活を始めているわけですから、なんら損害は発生していません。


離婚が認められるか否かは、あくまでも「夫婦関係」が破綻しているか否か、です。義母との関係が悪化しているにせよ、夫婦間の問題ではありませんから、離婚が認められることは難しいでしょう。


次に、相談者は義母を相手どって慰謝料を請求できるか? という相談について考えます。


自分ではどうにもできない不妊について責め続けられた場合の相談者の心痛は、理解できます。しかし、孫の誕生を望む義母の心情は、親としての自然の情愛に根差しており、責められないものです。息子のEDを知らない義母が、孫が出来ないことは息子の妻である相談者のせいだとして相談者を責めているのは、決して褒められたことではありません。とはいえ、法律上の「不法行為」にあたるとまでは言えません。


心痛はわかりますが、だからといって、離婚を考えるのは飛躍しすぎではないでしょうか。今回の問題は、義母が真実つまり自分の息子のEDを把握していないことに端を発していいます。この点を家族で十分に話し合ってお互いの理解を深めることです。


そこで、夫に義母の言動を正確に伝えて、夫とともに善後策を講じたらどうでしょうか。最良の方法は、夫が自分のEDを義母に正直に伝え、孫が出来ないことを告白することです。その上で、自分たちも、子どもは出来ないが、夫婦として今後も協力して家庭生活の継続を望んでいること、義母とも一緒に家族としてやっていきたいことを丁寧に話すのです。


相談者の心痛は理解できるものですが、これは法的なもめ事ではないですし、離婚や慰謝料を請求する事柄ではないと思います。




【取材協力弁護士】
岡村 茂樹(おかむら・しげき)弁護士

事務所名:岡村茂樹法律事務所
事務所URL:http://www.okamura-law.com