長時間労働、パワハラ、サービス残業など、劣悪な労働環境のニュースは後を絶たない。NPO法人労働相談センターがブログで、2016年3月および4月に同センターと全労協全国一般東京労働組合に寄せられた労働相談メールの一部を公表した。
「週40時間を超えないと残業はつかない」「休日出勤しても手当なし」
労働問題で話題に上るのは長時間労働だ。しかも、多くの人が残業代の出ないサービス残業を強いられていることがうかがえる。
「残業代は出さない上、本来公休の土日出勤のサービス残業まで命じられる」
「会社から『週40時間を超えないと残業は付かない』と言われたが、一日8時間を超えて働いた残業時間も残業代はもらえないのか」
このほかにも数多くの相談が寄せられている。長時間労働が常態化すれば、有給休暇の取得は困難になる。
「ハローワークの求人には『有給休暇あり』と書かれていたのに、有給休暇どころか、休日出勤しても手当すらないし代休も交通費もでません」
求人票に記載されている労働条件と実際の労働条件が違う『求人詐欺』に悩む人の相談も見られるほか、美容師からは有休制度がない店で15年間働いている、という相談もあった。
旅行サイト大手の米エクスペディアの調べ によると、2015年の日本人の有給消化率は60%と世界26か国中で24位と極めて低い。取りたくても取れない、取らせてもらえない人が相当数いるのだろう。
「タイに行って性転換してきてよ」職場でのパワハラに苦しむ労働者
職場でのパワハラも大きな問題だ。
「上司からトイレに行く回数を数えられ、『離席が多い。そんなに体調が悪いなら休んでかまわない』とメールで指摘される。つらくてたまらない」
「オーナーから『タイに行って性転換してきてよ』と言われた。冗談だとしても、これは差別発言ですよね」
「毎日上司から『消えろ!』『テメー』『あたまがおかしい』『辞めろ』と言われ続けている」
これが職場で起こっている事実が信じがたい。正社員だという女性は妊娠を上司に伝えたところ、パートか退職かを迫られたという。この上司は、妊娠や出産をなんだと思っているのだろうか。
一方で、辞めたくても辞めさせてくれない会社もある。とある相談者は派遣会社から紹介された会社を断ったところ、派遣会社から「もう契約しているから、辞められない。今辞めたら、弁護士を使って賠償金を請求する」と脅されたという。
多様な働き方が広がる現在、正社員からではなく、派遣社員やアルバイトからの相談も多い。もし現在、職場環境で悩んでいることがあれば、労働問題に取り組んでいるNPO法人や労働基準監督署などの、しかるべき公的機関に相談してみてはいかがだろうか。
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