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「学資保険」受け取り時に課税されてしまう場合も…税金で損をしないポイントは?

2016年06月13日 10:31  弁護士ドットコム

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ひとことで「教育費」といっても、学校の入学金や授業料だけでなく、塾や習い事まで含めれば天井知らず。そこで、学資保険の検討を始めたというのが、間もなく出産予定の東京都内在住のケイコさん(35)だ。しかしママ友から「学資保険は、生命保険とは違って、契約者と被保険者が異なる場合がほとんど。だから、受け取ると、課税されちゃうらしいよ」と言われたことが気になっている。


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また、千葉県在住のヨウコさん(47)は、契約者であるご主人が亡くなり、育英年金(契約者が亡くなった際におりるお金)と一時金をまとめて受け取ったところ、高校生のお子さんが扶養から外れ、子ども本人に課税されたそうです。



ヨウコさんは、確定申告の際に税務署で言われて気づきました。「知っていたら子どもが成人するまで受け取りを待ったのに」と悔しそうに話しています。



学資保険で受け取り時に課税されるのは本当なのでしょうか。また、子どもに課税されてしまう場合があるとすれば、どのような時か。受け取り方に工夫した方がよいポイントはあるのでしょうか。眞喜屋朱里税理士に聞きました。



●ポイント1「課税されることは少ないが、受け取り金額が多い時は注意」


結論からいえば、「学資保険で課税される」のは本当です。ただ、ほとんどの場合は、課税されません。



どちらが本当?と思われますよね。では、理由を詳しく説明していきます。まず、学資保険で受け取るお金は「一時所得」となり、所得税の対象になります。所得税の額は、下記の計算式にあてはめて計算することができます。



[(1)収入金額-(2)収入を得るために支出した金額-特別控除50万円〕×1/2



ただし、ほとんどの場合は課税されません。なぜでしょうか?



(1)の「収入金額」とは、学資保険の場合では、いうまでもなく、満期保険金(解約時に受け取った金額)のことです。(2)は、満期金などを得るために「それまでに支払った保険料」が該当します。



つまり、多くの学資保険では、支払った保険料よりも満期保険金の金額が、特別控除額の50万円以上となることはありません。そのため、「学資保険は課税される」けれども、実際に「課税対象となることは少ない」となるのです。



ただ、満期前に中学や高校入学時などの節目で受け取る「祝金」がないタイプで、払込保険料が500万円を超える高額な学資保険に加入している場合には、満期で受け取る保険金額は多くなります。返戻率が110%ほどでも、課税対象になる可能性がありますので、ご注意ください。



●ポイント2「複数の契約、受け取り時期の年度をズラすのが正解」


学資保険で、もう1つ注意が必要な点として、満期保険金の受取人を親ではなく子どもにした場合、子どもに課税されてしまうことがあげられます。



なぜなら、学資保険の保険料を支払うのは親であり、子どもは保険料を負担していません。つまり、親からお金をもらった(贈与)ことになり「贈与税」の対象になるためです。



贈与税は、贈与された額からまず、基礎控除の110万円を引き、残りの額を各々の所得による税率を用いて算出します。



しかし、がっかりする必要はありません。贈与とみなされないように受け取ることは可能だからです。


課税は年単位に行われます。そこで、高額の学資保険の満期金を受け取りたい場合には、「金額を下げた契約を複数行う」のが正解です。さらに、受け取り時期の年度をずらします。これによって課税される年度が違いますので、一時所得の特別控除50万円が、各年度にて利用できることになります。



【取材協力税理士】


眞喜屋 朱里(まきや・あかり)税理士


東京都中央区に開業している女性税理士事務所です。当事務所は、会社設立からその後の経営サポートまで経営者を全力で支援します。迅速に対応し経営者及び経理担当者様の不安を拭うよう常に心がけております。


事務所名   : 眞喜屋朱里税理士事務所


事務所URL:http://www.makiyatax.jp/



(弁護士ドットコムニュース)