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kōkua、メンバー全員インタビュー(前編)「5人の音楽性がミックスされて“らしさ”が生まれる」

2016年06月13日 10:31  リアルサウンド

リアルサウンド

kōkua

 スガ シカオ(Vo)、武部聡志(produce,key)、小倉博和(Gr)、根岸孝旨(Ba)、屋敷豪太(Dr)。日本を代表するミュージシャンたちが集うkōkuaが、6月1日に1stアルバム『Progress』をリリースした。NHKのドキュメンタリー番組『プロフェッショナル 仕事の流儀』の主題歌起用をきっかけに2006年に結成された同バンド。10年目の今、彼らはなぜ再び集まり、1stアルバムを作るに至ったのか。そして、その音楽が瑞々しく豊かなバンド・サウンドへと結実した理由とは? 今回リアルサウンドでは訊き手に柴那典氏を迎え、メンバー全員にロングインタビュー。その内容を前後編にわけて掲載する。前編では、プロジェクトのきっかけから楽曲制作の詳しいエピソードまで、1stアルバム『Progress』についてじっくりと話を訊いた。(編集部)


・「今まで積み上げた音楽をぶつけ合うことから生まれる何かがある」(武部聡志)


――今回、kōkuaが10年ぶりに集まってアルバムを制作するというプロジェクトは、まずどういうところから始まったんでしょうか?


武部聡志(以下、武部):今回は、スガくんの声掛けですね。スガくんが「やろうよ」と言ってくれたんです。


スガ シカオ(以下、スガ):番組(NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」)が10周年だったということがまずあって。僕ら、シングル1枚しか出してないんですよね。だからアルバムという形で残そうとはずっと言ってたんです。でも、忙しいのもあってみんな集まる時間もなかなかなくて。10周年を機に、これはけじめだし、いろんなものを巻き込んで、「Progress」という曲を作ったkōkuaというバンドのアルバムを作ろうと思って声を掛けたのが始まりです。


――最初に「Progress」という曲を作った10年前はどんな感じだったんでしょう?


武部:最初は僕ですね。それもまずは番組ありきです。「プロフェッショナル」という番組が立ち上がるにあたって、プロ集団のような架空のバンドを作りたいというアイディアが浮かびました。それぞれがミュージシャンでありながらプロデューサーでもあるような人たちをメンバーにした、プロのバンドというイメージで作ったのがきっかけです。


――では、皆さん、今回のタイミングで再びkōkuaをやろうと声がかかって、どんな風に感じられましたか?


小倉博和(以下、小倉):「ああ、やるんだな」って(笑)。でも「久しぶりに会った」って感じは全然なかったですね。武部さんのプロデュースワークの時に僕がギタリストで呼ばれたり、根岸くんや豪太くんともセッションとかいろんなところで会ってたので。


スガ:そう。俺もしょっちゅう会ってる。個々で。


根岸孝旨(以下、根岸):ちょいちょい会ってるんですよ、なんやかんやで。だから今回の話が来た時も「え、もう10年も経ってるっけ?」みたいな感じだった。「まだ3年くらいじゃない?」みたいな(笑)。


屋敷豪太(以下、屋敷):でも、前からこのバンドでアルバムを作りたいなってずっと思ってたから。やっと念願が叶ったというのもありましたね。


――武部さんとしてはどうでしょう?


武部:みんなキャリアを積んで、日本を代表するミュージシャンが集まってやるわけだから、ちゃんとビジネスベースに乗らないと嫌だなと思ったの。ツアーも集客できるし、アルバムもある程度のセールスが作れるようなものじゃなかったらやりたくないって。だから、こうやって頑張って取材も皆でやるし(笑)。みんなアマチュアじゃないから、趣味で「好きな音楽やろうぜ」っていうのとはちょっと違うとは思ってますね。


――武部さんはkōkuaというバンドを立ち上げた時に、プロデューサーとして活躍されてきた方々が集まることでどういう化学反応が生まれるという意図があったんでしょうか。


武部:みんな、自分がプレイヤーでありつつ、俯瞰で作品を見ることができる人たちだと思うんですよ。だから、すごく大人なロックバンドができるんじゃないかとは思いましたね。自分のやりたいことを闇雲にやるんじゃなくて、全員が曲のサウンドやタッチを客観的に見られるという。


・「回数を増やすほど『kōkuaっぽく』なった」(屋敷豪太)


――皆さんはどうでしょう?


根岸:僕は、どこに行ってもあまり意識は変わらないです。その時その時にやる人をいつも「バンド」と思ってやってますね。


武部:すごいね、良い話だね。そんなこと、思ったことないや(笑)。


一同:(笑)。


屋敷:僕も同じような意見なんですけど、このメンバーでやる以上、そこでできる音が絶対あるわけで。やっぱり回数を増やしていけばいくほど「kōkuaっぽいね」っていう言葉が周りに出てくるんですよ。やっぱり、そういうのがバンドのサウンドっていうものなんだなと思うので。そういうのをやってると楽しくなりますね。


小倉:互いに信頼もあるし、あとみんな愛嬌があるというか、根が明るいっていうか、そういうところがあるから楽しくやっていけるんだとも思うんですね。


――スガさんとしては、kōkuaの活動をどう捉えてらっしゃいますか?


スガ:ミュージシャンとしてkōkuaは別の人生なんですよね。シンガーソングライターというのは、我を出して、勝ち進んでいかないといけない世界だから。そういう風に生きてきた音楽人生だったんだけど、でもkōkuaでは僕が一番キャリアもないし、一番年下なんですよ。だから、ここではあんまり我を出さないようにしてる。ここで我を出したらソロと同じになっちゃうから。だから、ここではみんなが思っていることをどれだけ言葉にできるかを考えて詞を書くんだよね。「今メンバーの目には世界はどういう風に映ってるんだろう」とか、顔を考えながら詞を書く。「俺がこう思う」っていうソロの詞の書き方じゃないんだよね。だから、別の人生なんですよ、僕にとって。


――ソロとは逆のやり方なんですね。


スガ:そうですね。だから、歌い方も「このバンドだったらこう歌うのが一番かっこいいだろうな」って考える。自分のことは置いといて、バンドのために献身的になるというか。献身なんて言葉は僕の音楽人生になかったからね(笑)。


武部:バンドの名前がそうだもんね。


――kōkuaというのはハワイ語で「協力する」とか「協調する」という意味を持った言葉なんですよね。


スガ:だから、そういう名前を僕はつけたかったんですよね。


小倉:そうですね。名は体を表すってやつですね。


――先ほど「kōkuaらしさ」みたいなのが自然と生まれてきている仰ってましたが、それはどういう風にできてきたものなんでしょう?


武部:僕はいろんな現場でいろんなミュージシャンとセッションをやってきて、いろんな制約の中で音楽を作っていたりするのね。で、こういうバンドでやる時っていうのは、そういう音楽的な制約がすごく少ないんだと思うの。みんなもそうだと思うけど、それぞれのキャリアとか音楽性とかがすごく出てくるじゃない? だから、多分みんなが引き出しを開けて、今まで積み上げた音楽をぶつけ合うことから生まれる何かがあるんだと思う。この5人の音楽性がミックスされて、それが「らしさ」に結びついていく。それがアルバムを作っていく過程でハッキリ見えてきたんじゃないかな……。


屋敷:それに、最初の「Progress」の曲をやった時、その音を出した瞬間に、何かがもうあったんですよね。


スガ:そうそう、あの曲は1テイク目なんです。集まって最初に音を出した時のテイクが録音されている。


武部:逆に、2回目・3回目をやったら、1テイク目を上回れなかったくらい、最初にバッと音を出した時のきらめきがすごかった。


小倉:そういう意味では、あの瞬間にできたものがあったんだね。


スガ:ね。ちょっと怖いくらい。それに、アルバム曲も1テイク目か2テイク目がほとんどなんですよ。だから、そういう体質の人たちなんだって思う(笑)。


・「「Progress」は人生を変えた曲」(スガ シカオ)


――「Progress」はアルバムのタイトルにもなっているわけですが、生まれてから10年経って、改めてこの曲はどういう位置付けになっていますか? 


スガ:どうやって作ったかも覚えてないし、自分で作った感は全然ないんだけど、僕の中では1、2を争う「人生を変えた曲」ですね。この曲があるとないとでは自分の人生が変わってたと思う。そういう、すごく重要な曲になってしまった感じはありますね。


――どう変わったと思いますか?


武部:サラリーマンの人たちに声掛けられるようになったんじゃない?(笑)。


スガ:そうなんですよ。サラリーマンとか受験生に「あの曲で一歩前に進めたんです」って。それに海外でも「プロフェッショナル」は放送してるんです。だから、どこの国でも、在住している日本人のコミュニティの方はみんなこの曲を知ってる。恐ろしい知名度、浸透度なんですね。


武部:曲を作った時に思ってたことと同じなんだけど、この曲自体を知ってる人はたくさんいるんだけど、kōkuaってバンド名も、メンバーが誰なのかも知らない人がいっぱいいるわけ。それが逆に狙いだったような気がします。


スガ:俺が歌ってるって知らない人もいっぱいいますからね。


武部:うん。そういうことをやりたかった。僕は、ポップ・ミュージックっていうのはすごく普遍性が大事だと思っているから、普遍的に残る曲をいくつ作れるかっていうのが自分の中のテーマなのね。そういう意味で、これは曲が一人歩きをした。そういうことを自分のバンドの曲でやれた。それはもちろん、思い入れは深いですね。


小倉:それに、今もこの曲はそうやって一人歩きしている上に、バリバリ現役の曲じゃないですか。そういう意味でも魔法のかかったような曲ですよね。


・「やりとりはわりとLINEを使ってました」(スガ シカオ)


――アルバムについてもお話をお伺いしようと思うんですが、これはまずどういうところから作り始めたんでしょうか。


スガ:まずは番組用に「夢のゴール」という曲を作ったんです。スタッフと話す中で「Progress」のアンサーソングを書こうというテーマが出て。で、10年で何がどう変わったのかを考える中で、武部さんから、震災があって、我々の心に「共生」って言葉が強く響くようになったという話があって。「そういうのが歌の中に反映されるといいな」とか、すごく難しいことを言われて(笑)。それで、いろいろ悩み抜いて作ったんですよ。


――テーマ設定としてはとても難しいですね。


武部:でも、単純に「みんなで力を合わせて頑張ろう」みたいな歌にはしたくないから。もちろん、スガくんがそういう安直な歌を書くとも思わないし。スガくんならそこでちょうどいい塩梅の答えを導き出してくれるんじゃないかな、って思ったわけですよ。


スガ:でも、あの曲は相当悩みました。悩みすぎて覚えてないくらい(笑)


――この曲では、夢を持った主人公のその後の姿が描かれています。


スガ:武部さんからすごくいろんなことを言われたんだよね。「Progress」の主人公は、夢を追いかけてあと1歩だって言ってるけど、その後どうなったんだろうね、とか。


武部:「Progress」って「あと一歩だけ前に進もう」ていう、肩を叩くというか背中を押す歌だと思っていて。この「夢のゴール」っていうのは、「共生」っていうほど大げさなテーマではないのかもしれないんだけど、誰でもやっぱり持っているもの夢とか未来のビジョンみたいなものを、僕らなりの見方で描けたらいいなっていうのが一つあったのかな。でも、スガくんがもっと簡単な言葉で書いたらすごく陳腐なものになってしまったと思うの。だけどすごく文学的な書き方をしてくれた。だから、この歌もきっと普遍的な要素は持ってるんじゃないかと思うね。


――「Progress」に加えて「夢のゴール」という曲ができたことで、アルバムの軸はハッキリした感じでしたか?


武部:うん。テーマとか、サウンドのイメージとか、柱はできた感じですね。


――で、実際にアルバム制作に向けてのミーティングが始まったのが今年に入ってからということですが、そこではどんな話し合いがあったんでしょうか?


小倉:最初はとにかくいろんな意見を出し合おうって感じでしたね。「全曲カバーでいいんじゃない?」みたいなのもあったし、それぞれが1曲ずつプロデュースしようみたいなのもあったし。


スガ:最初はあまり決めずにみんな会議室で好き勝手言ってた感じでしたね。で、俺は自分のアルバムを作り上げた直後だったので、身体に何も残ってなくて。6月にリリースするとなると最低でも7、8曲は歌詞を書かなきゃならない。曲も書かなきゃならない。普段だったら全然できるんだけど、ちょっと不安はありました。


――ストックを出そうというつもりはなかった?


スガ:kōkuaはロックバンドなので。俺のオリジナルはもうちょっとブラック・ミュージック寄りだし、ストックは全く使えないと思ってましたね。


――それぞれが曲を持ち寄るっていうのはどのように決まっていったんでしょうか。


武部:僕がこう言ったんです。昔、イエスっていうプログレのロックバンドがいて、そのイエスの『Fragile』ってアルバムが、メンバー1人1人の曲が入ってるのよ、それがすごく良いからそういうことをやりたいんだよね、って。で、ライブもあることがもう決まっていたから、ライブ・パフォーマンスを考えた時に、1人1人が曲を書いた方がそれぞれをフィーチャリングできるシーンが作れるんじゃないかなと思って。


――曲作りはどんな風に進めていったんですか?


スガ:やり取りはわりとLINEを使ってました。


武部:そう、グループLINEだね。とにかく、今回はそれが大活躍。5人で顔を突き合わせる時間がなかなか取れないから、カバー曲のアイディアとか、曲のデモとか、それもLINEに上げて、そこでみんなが反応して、っていうやり方をしてました。


屋敷:大学のサークルみたいでしたね(笑)。


スガ:俺も、歌詞の骨組みができたら、「こんな歌詞になりそうです」っていうのをすぐLINEに上げてったしね。


・「5人でできる限りのサウンドを作ろう」(武部聡志)


――スガさんは「夢のゴール」に加えて「砂時計」「幼虫と抜け殻」「Blue」という曲を作ってますが、kōkuaとソロの切り替えはどんな感じだったんでしょう?


スガ:やっぱり、kōkuaはみんなと演奏している時のことを考えますね。だからこういうロックっぽい感じの方がいいだろうなって。で、アイディアの段階も含めて6、7曲くらい武部さんに全部預けて。で、後は武部さんに選んでもらってバランスを取ってもらおう、と。


――スガさんの中の「ロックっぽさ」ってどういうところなんでしょう?


スガ:あの……ベースがねぎちゃんっていうところが一番デカいかな。


根岸:俺のせいなんだ(笑)。


スガ:自分のリズム感で曲を作るとすごく黒くなっちゃうから、ねぎちゃんが弾いてる感じで曲を作るんですよ。


・「メロディが降りてきた」(根岸孝旨)


――なるほど。根岸さんはドラマ「ふれなばおちん」の主題歌になった「黒い靴」を書いていますが、これは?


根岸:実はもともと、バンドのミーティングの時に、僕はバラードを書きますって言ったんですよ。


スガ:ああ、良いバラードだった、あれはすごく。


根岸:で、最初はバラードを作ったんだけど、武部さんに「ちょっとあそこのメロディどうかねぇ」って言われて。「じゃあ考えておきます」って言ったんだけど、「そうかぁ」って言ってギターを持って「ジャーン」ってやった時に、これは本当なんですけど、何か降りてきちゃったんですよ。「あ!」って思って、本当に一気に書いちゃった。で、「武部さん、直せって言われた曲と違うのができちゃったんですけど」って言ったら「こっちの方が良い」って(笑)。やっぱり、悩まないで作ったものっていうのはやっぱりインパクトがあるみたいで。


武部:最初にタイアップも決まるしね(笑)。


・「ライブでみんなで盛り上がれる曲を」(小倉博和)


――小倉博和さんの書かれた「道程」は歌詞も歌もご自身で手掛けていますが、これは?


小倉:ちょっと冒険ではあったんですけど、アルバムの中にギタリストが歌ってる曲が入るのも、バンドの幅としては楽しいんじゃないかと思って。そういう考えを話したら、武部さんも、ローリング・ストーンズでもキースがセンターに行って歌う曲があるじゃんって。やっぱりそのイメージもあって、まずリフを考えよう、と。で、サウンドもそうだけど、歌詞もアメリカンな方向にしようと思いましたね。情報量が少なくて、短いセンテンスで、明るいムードがあるもの。後は、ライブの中でみんなで盛り上がる、そういう役割を持てるような曲を作ろうっていうことです。とにかくスガ シカオくんと一緒にデュエットできるなんて話、ここでしかないと思って(笑)。


――豪太さんは「1995」を書いています。これは?


屋敷:僕は、皆さんがどういう曲を出してくるかとかも分かってなかったし、ストックがいっぱいあって、その中から3パターン持ってきた感じです。武部さんに「これじゃない?」って決めてもらったという。


――武部さんは、みなさんの曲、ご自身の曲、それをアルバムという一つの全体像にする中ではどんなことを考えましたか?


武部:みんなが集まる時間が少なくてね、これはアルバムもう、ミニアルバムじゃないかみたいな時期もあったわけ。曲足りないし、みたいな。


小倉:時間もないわ曲もないわっていう(笑)。


武部:だけど、「夢のゴール」と「Progress」が最初と最後にするのは決めていて。そこに至るストーリーを描いていくために、やっぱりそれぞれの書いた曲が入ってくる。僕は箸休めに当たる曲をインストで書こうと思ってた。それが「BEATOPIA」で、最後にバンドが集まったセッションの日に「せっかくみんなで集まって音を出せるのが最後だから、もう1曲録ろうよ」って言って最後に録ったのが「kōkua's talk 2」。これはラップになった。だから結果的には2曲入った感じなんだけど。


屋敷:久しぶりに夜中のレコーディングでしたね。


――アルバムには2曲のカバー曲が収録されています。1曲は豪太さんが所属されていたシンプリー・レッドの「Stars」、そしてもう1曲は岡林信康さんの「私たちの望むものは」。このセレクトは?


スガ:岡林信康さんの曲は僕がやりたかったんです。これはわがままを言わせていただきました。


――これはなぜ?


スガ:これ、個人ではカバーする意図も覚悟も持てないくらい強い曲なので、ソロでは絶対できないんです。けど、やりたい気持ちはあって。だから、邦楽を1曲カバーやろうよってなった時に「もうアレしかないわ」って。


――「Stars」に関しては?


武部:「Stars」はもう満場一致でしたね。洋楽をやるんだったら豪太がいたシンプリー・レッドの曲は絶対にやろうって。


屋敷:僕的にはちょっとびっくりだったけどね。「え、しかも日本語でやるの?!」って。で、決まったら速攻マネージャーに連絡しました(笑)。「許諾よろしくね」って。


――このインタビューをしている現在はまさにライブツアーのリハの真っ最中ですが、ステージはどういうムードになりそうでしょうか?


スガ:僕、センターにドラムがないのが初めてなんですよ。あれがまず異次元なんですよね。自分のソロとは全く違う。


武部:やっぱり、スガくんのソロではやれないようなライブにはしたいと思いますよね。それは演奏もそうだし、それ以外のいろんな、ライティングとか映像もそう。


――アルバムを聴いても、やっぱりこれだけの方々が集まっているだけに、すごく音の鳴りの良さ、音楽としての豊かさを感じます。そういう意味ではライブもとても楽しみです。


武部:レコーディングでも、とにかくこの5人でやれることをやろうって言ったんですよ。だから、5人以外のミュージシャンは誰も参加してないのね。ストリングスとか、ブラスとか、パーカッションとかも一切入ってない。5人でできる限りのサウンドを作ろうっていうアルバムですからね。


スガ:だから、ライブも音を出したら、そのままになると思いますよ。(後編に続く)(取材・文=柴 那典)