F1カナダGPの決勝レースで鍵を握るのは、天候となるかもしれない。日曜日のモントリオールの天気予報は、降水確率60%。雨が降る確率が高いのは午前中で、午後は曇りと予想されているが、最高気温14度と、肌寒かった土曜日よりも、さらに寒い一日となりそうだ。そうなると午前中に降った雨が乾かない可能性が高い。
前戦、雨が降るなかスタートが切られたモナコGPでは、タイヤ交換のタイミングが明暗を分けた。メルセデスはルイス・ハミルトンのみ、ウエットからインターミディエイトに交換せず、路面が乾きだすまでウエットで引っ張って直接ドライタイヤに交換した。しかし、カナダGPでは「ピットストップ回数は状況によるが、2台で戦略を分けることはなく、イコールコンディションでレースさせる」と、メルセデスのトト・ウォルフは語っている。
予選でメルセデス勢にコンマ1秒差まで迫ったフェラーリのセバスチャン・ベッテルは「僕たちは予選よりも決勝のほうが得意だから、いいレースが期待できる」と、予選3番手から今シーズン初優勝を狙う。ちなみにセルジオ・マルキオンネ社長の母親はカナダ人で、日曜日にはマルキオンネがサーキットに来ると言われている。
レッドブルのリカルドも「日曜日も涼しいコンディションなら、僕たちに有利だ」と、パワーサーキットのモントリオールの予選でメルセデスからコンマ3秒の4番手につけられたことを喜んでいた。「どんな天候でも僕はかまわない」と言うリカルドに対して、レッドブルはモナコGPで犯したミスを再発させないよう、新しいソフトウェアを導入し、タイヤ選択の判断が遅れるようなことがあっても、きっちりスタッフが対処できる態勢をとっているという。
興味深いのは、マクラーレン・ホンダの動向だ。予選10番手と12番手につけたが、最高速は最下位とブービー。その理由を長谷川祐介ホンダF1総責任者は「エンジンのパワーが不足していることはもちろんですが、雨を想定してダウンフォースをしっかりとつけていることも大いに関係しています」と説明。もし、雨が降って荒れた展開となれば、モナコGPに続く上位入賞も不可能ではない。
なお、フリー走行3回目でクラッシュして、予選に参加しなかったルノーのケビン・マグヌッセンは、シャシーを交換してレースに参加。予選Q2でクラッシュしたトロロッソのカルロス・サインツJr.はシャシーを交換せず、パルクフェルメ規定を守って日曜日の朝から修復作業を行い、16番手からスタートする予定で準備を進めている。