2016年06月12日 10:31 弁護士ドットコム
「うちの会社は全国転勤あるけど平気?」という面接官の言葉に、就職活動中の学生が「はい!」と元気よく答えるシーン。ありがちな場面ですが、全国転勤をめぐって、ネット上では、「嘘つけ絶対耐えられないゾ」「いろんな街住めて楽しそうやん」など、様々な反応が広がっています。
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最近は全国展開している企業でも、「エリア限定職」のように、原則として転居を伴わない勤務形態もあります。しかし、そうでない場合、北海道から沖縄まで、どこに転勤になるかわからない人も多いのではないでしょうか。
弁護士ドットコムの法律相談コーナーには、全国転勤が条件の会社に入社したが、母の介護を理由に、留まることを希望したところ、「本当に介護なんかしているのか」と怪しまれ、最後は諦めてしまったことを打ち明ける投稿がありました。
一度、全国転勤OKと回答してしまった場合、その後に転勤を拒否することはできないのでしょうか。また、もしできるとしたらどのような場合なのでしょうか。森本 明宏弁護士に聞きました。
●全国転勤を拒否できる場合もある
全国転勤に了承して労働契約を結んだのであれば、使用者には転勤させるかどうかについて広い裁量権があります。業務上必要であれば、転勤命令には従わなければならないのが原則です。
ただし、転勤命令は、労働者の生活に少なからぬ影響をあたえますので、無制限に許されるわけではありません。濫用にあたるような特段の事情がある場合には、転勤命令を拒否することができます。
特段の事情が認められるケースで代表的なものとしては、以下の2つがあります。
1つ目は、他の不当な動機・目的をもって転勤命令がなされた場合です。具体的には、労働者を退職させる意図がある場合や、会社に批判的な労働者を排除する目的で転勤命令を出したような場合です。
2つ目は、労働者に不当な不利益を負わせる場合です。例えば、親が病気で面倒を見る必要性が高い労働者を転勤させる場合などがこれにあたります。
このような特段の事情があるならば、まずは会社に事情を説明し、転勤命令の撤回を求めてください。それでも撤回しないのであれば、今後の会社との関係性などにも気を配る必要性があると思われますので、どのように対応すべきか弁護士にご相談ください。
【取材協力弁護士】
森本 明宏(もりもと・あきひろ)弁護士
愛媛弁護士会所属(2002年弁護士登録)。2010~2011年度、愛媛弁護士会副会長。愛媛地方最低賃金審議会公益委員・日本スポーツ法学会会員。http://www.facebook.com/lawyer.morimoto
事務所名:四季法律事務所
事務所URL:http://www.shiki-law.com/