トップへ

GP topic:捨てバイザー規制は今後どうなる? 夏場は「虫」が問題に

2016年06月11日 17:11  AUTOSPORT web

AUTOSPORT web

写真
F1モナコGPで二転三転した、バイザーの「ポイ捨て」規制。一部では「ピットストップ以外に、コース上での投げ捨ては2枚まで」という取り決めがあったと噂されていたが、FIAの公式発表では「必要最小限の使用」という表現にとどまり、違反した場合の罰則なども設けなかった。

 今回のカナダGPでは、これまでのところFIAからバイザー規制に関しての発表はなく、モナコGPと同様「必要最小限の使用」になると思われる。バイザー規制問題が話題に上がらない理由のひとつは、モナコGPでドライバーたちが使用した捨てバイザー(ティアオフ)の枚数が、おおむね3枚以下だったからだ。



 

 ベルのシニア・レーシングテクニシャンを務めるマイケル・オメントによれば、モナコGPでベルのヘルメットを使うドライバーに対して、準備した捨てバイザーの枚数は各10枚。しかし、レース後に確認した使用枚数は次のとおりだった。

ルイス・ハミルトン:1枚
キミ・ライコネン:2枚
ケビン・マグヌッセン:1枚
マーカス・エリクソン:1枚
ロマン・グロージャン:2枚
エステバン・グティエレス:2枚

 シューベルトのヘルメットを使用しているドライバーも、担当者によれば「3枚しか捨てバイザーは準備していない」と言う。F1で最大のシェアを誇る、アライも同様の回答だった。ベルが10枚準備したというのも、ベルが使用している捨てバイザーは「ラミネートタイプ」という1枚1枚が非常に薄いものが密着している、10枚1セットの仕様となっているためで、10枚使用するために準備したわけではない。つまり、もともとドライバーたちは必要最小限しか捨てバイザーは使用していないのだ。



 

ただし、ある関係者はモナコGPで捨てバイザーの使用枚数が少なかった理由を次のように話す。

「バイザーが汚れる理由は大きく3つある。ひとつは前車からのオイル、ふたつめはタイヤかす、みっつめが実は最も汚れる原因で、空中を舞う虫なんだ」

モナコは市街地なので虫が少ない。加えて、日曜日のレースは前半ウエットコンディションだったため虫はまったく飛んでおらず、雨によってタイヤかすも飛ばず、捨てバイザーが汚れる原因がほとんどなかった。

カナダGPもモントリオール市内にあるノートルダム島で行われるので、それほど虫はいない。バイザーが汚れる心配は少ないのだが、オーストリアGP以降のヨーロッパラウンドは自然に囲まれたサーキットが多く、虫たちが活発になる夏場となる。

シューベルトのサービスマンによれば「いちばんバイザーが汚れるサーキットはスパとモンツァで、その次がシルバーストン、ハンガロリンク、ホッケンハイム」だという。

7月から8月にかけて、捨てバイザーの規制問題が再び浮上してくるかもしれない。