日本でもスーパーGTやスーパー耐久で見ることができるGT3規格のレーシングカーによるイベントが世界中で盛り上がりをみせているが、北米で人気を集めるサルーンレースの代表格、スポーツカー・クラブ・オブ・アメリカ(SCCA)『ワールド・チャレンジ』もその例外ではない。
このシリーズは、1972年にSCCAによって立ち上げられたスポーツカーレースで、当初マシンは『価格3000ドル上限』とされており『ショールーム・ストック』と呼ばれていた。その安価な設定と身近な参戦車種が人気を呼び、その後の長い歴史を経て本格的なチャンピオンシップとなってから27年目となる今季は、GT/GTS/GTカップ/TC/ACA/TCBの6クラス、さらにドライバーレベル別のカップや今季より新設されたスプリントを含め、なんと計90台以上が年間エントリーする。
車両の大まかなクラス感としては、『GTS』はシボレー・カマロやコルベット、フォード・マスタングと言ったアメリカンスポーツに、ロータス・エキシージやBMW M3、ポルシェ・ケイマン、ニッサン370Z、スバル・インプレッサSTIなどのGT4車両に準じるクラス。『TC』、および『TCA』はマツダ・アクセラやRX-8、ホンダ・シビックにフォルクスワーゲン・ゴルフなどの2リッター級、『TCB』はミニやマツダ・デミオ、フォード・フィエスタなどのBセグメントが主流となっている。
そしてトップカテゴリーたる『GT』は、GT3規格や規定準拠のモデルが中心となり、最新のGT3マシンでワークス参戦を続けるキャデラックを筆頭に、コルベット、ダッジ・バイパー、ポルシェ911 GT3のカップカーや、多種多様なドイツ系GT3モデル、そしてニッサンGT-RニスモGT-3やベントレー・コンチネンタルGT3といった車種も顔をそろえる。出力は450~525PSの間で、2ドアクーペだけでなく4ドアサルーンの参戦も認められている。そのため、北米ホンダはアキュラの最上級ラグジュアリーモデル『TLX』を送り込んでいる。
興味深いのは、昨年から同シリーズはヨーロッパのGT3カーの主要な戦場となっているブランパンGTシリーズと戦略的提携を結び、選手権上位車を相互に招待参戦させるなど、交流を始めていることだ。もちろん、ブランパンはGT3の年度ごと性能調整において、日本のスーパーGTとも協力関係を構築している。
そんなピレリワールドチャレンジGTシリーズチャンピオンシップは今季すでに6戦を終え、アルバロ・パレンテのマクラーレン650S GT3、パトリック・ロングの911 GT3R、そしてジョニー・オコネルのキャデラックATS-V.R GT3が王座争いを繰り広げている。
そんな中から、キャデラックの最新GT3マシンについては後日オートスポーツwebでも紹介する予定だ。