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SiMとCrossfaith、熱狂のコラボステージに見た“9カ月の集大成”

2016年06月10日 17:41  リアルサウンド

リアルサウンド

『SiM vs Crossfaithスペシャルライブ』(写真=Ryota Mori/Red Bull Content Pool)

 SiMとCrossfaithが、6月4、5日に開催された「レッドブル・エアレース千葉2016」のテーマソングである「GET iT OUT」を共同制作し、同作にまつわるスペシャルライブを6月2日、東京・TABLOIDにて開催。SiMとCrossfaithは、日本の“ロック・シーンに翼をさずける”バンド・コンテスト『Red Bull Live on the Road 2016』のオフィシャル・サポートバンド。ライブ当日は、キャンペーンに当選した200名を特別招待し、一夜限りのコラボステージを披露した。


(参考:『SiM vs Crossfaithスペシャルライブ』のライブ写真はこちら


 イベント冒頭、会場が真っ暗に消灯すると、稲妻のような照明のあと、SiMのメンバーが登場。それぞれにポーズを決めてから一斉に音を鳴らしたあと、MAH(Vo.)の合図とともに、1曲目「Dance In The Dark」へ。MAHが、同曲MV中にも披露しているダンスのステップを刻むと、両脇でSHOW-HATE(Gt.)とSIN(Ba.)も軽快なステップを踏みながら演奏。曲中、MAHのシャウトで一気にオーディエンスが波打つかのような光景が広がっていた。


 続く曲を待っていると、MAHが「今日は、普通のツーマンじゃねえぞ! Crossfaith!」と叫び、CrossfaithのKoie(Vo.)をステージに呼び寄せた。するとMAHは「ちょっと変わってもらっていいですか」と言ってステージを後にし、入れ替わりでCrossfaithのメンバーが登場した。Koieは突然のSiMとCrossfaithのチェンジに対し動揺するオーディエンスに向け、「俺たちがCrossfaithだ!」と宣言。新曲「Revolution」の特徴的なシンセ音が聴こえると、観客は一斉にジャンプ&コール。フロアは一気にCrossfaithモードへと変貌した。


 Crossfaithが演奏を終えると、Koieは「今日は、SiMの曲が歌いたいです」と話し、SiMとCrossfaithのメンバーが再び入れ替わると、Koie自身も「ヤバ!やべえ!」と興奮状態に。Koieは「やってみたかったの、<you’re killing me>ってやつ。いいっすか」と歌詞の一部を抜粋して尋ね、MAHが「Koiちゃんだけだと歌が心配なんで」と笑いをとりつつ「今日だけだぞ!」と伝えて今夜限りの「KiLLiNG ME feat. Koie」へ。MAHとKoieによるシャウトの掛け合いや、SINとSHOW-HATEが楽器を回しながら演奏するパフォーマンスに、観客のテンションは上がりっぱなしだ。オーディエンスを座らせてから、一斉にジャンプさせる間奏部分では、ジャンプの合図を焦らすKoieに、MAHが「早くしろよ!」としびれを切らしてツッコむ場面もあり、デビュー前からの旧知の仲であるKoieとMAHの関係性を目にすることができた。


 続いて、MAHが「これ俺もやりたい」と言って熱望した曲は、Crossfaithの「Wildfire」。ボーカル2人を残してSiMとCrossfaithのメンバーがチェンジすると、間も無くMAHとKoieのツインボーカルによる「Wildfire」がスタート。<We Got You’re Wildfire>を歌唱した直後、メンバーも観客も<Wildfire>と叫びながら飛び跳ねまくり、タオルを回すなどフロアはお祭り状態に。


 その後のMCでは、MAHが、今日のスペシャル・ライブを普段通りの対バン形式にするという提案があったことを告白。これに対し、Koieは「去年の秋にオファーをもらってから約9カ月間、一緒に曲を作って、MVを撮って、どうせだったら(ライブも)一緒にやろうと思って」と2バンドによる特別なステージが実現した背景をファンに向けて説明した。


 ここでほかのSiMメンバーを呼び込むと、本日のメイン楽曲である「GET iT OUT」の演奏へ。ステージ上に揃ったSiMとCrossfaithの9人が並んだ姿に、Koieは「Slipknot以来の9人編成だ」と心を躍らせた。「GET iT OUT」の演奏が始まると、ベースのHiroとSIN、ギターのTamaとSHOW-HATEが互いに向かい合いながら、激しいプレイを見せつけ合い、ドラムのTatsuとGODRiが息ぴったりのビートを叩いた。主にシャウトをkoie、メロをMAHが歌い上げるという、Crossfaithのメタルコア/スクリーモ感とSiMのレゲエな要素をミクスチャーした新しい楽曲に、オーディエンスはこの日1番の盛り上がりを見せていた。


 そこからKoieが「まだまだいくぞ! ついてこれるか!」と叫び、9人はCrossfaithの楽曲「Jägerbomb」へ。SHOW-HATEが、メンバーに囲まれながらギターを披露し、Tamaがドラムの方まで移動するなど、ステージ上では各々が自由なパフォーマンスを披露。ラストに演奏したSiMの楽曲「f.a.i.t.h」では、MAHが「前代未聞のSiM vs Crossfaith!」と観客を煽る。フロアで左右に分かれた観客が、MAHとkoieの合図によって、真ん中に向かって突撃し合う「ウォール・オブ・デス」が2度も繰り広げられ、ステージは幕を閉じた。


 普段アリーナクラスの動員数を誇る2バンドが、わずか200人を前にして共演したスペシャルライブ。ライブで演奏することを考えず、ベース・ドラムのパートをSiMとCrossfaithで数小節ごとにチェンジするという方法で制作された「GET iT OUT」は、この日が初披露であり、生で聞ける最後のチャンスだったかもしれない。2008年の出会いから、今回の共同制作で改めて互いの音楽を分かち合った彼ら。今までもこれからも、互いに刺激を与え続けていくであろうSiMとCrossfaithの活躍から目が離せない。(大和田茉椰)