F1カナダGP開催直前の木曜日、ロマン・グロージャンにNSCAR参戦の可能性について尋ねてみた。グロージャンの所属するハースF1のオーナー、ジーン・ハースは、NASCARチーム、スチュワート・ハースの共同オーナーであり、現役F1ドライバーをNASCARで活躍させたいと願っているからだ。
グロージャン自身、とにかくレース全般が大好きで、これまでもGTレースや氷上ツーリングカーに出場。NASCAR参戦にも、大いに乗り気だった。しかし今回あらためて訊いてみると「いまでも出たい気持ちは、ものすごくあるんだけど、ちょっとスケジュールがね……」と、どうも煮え切らない。
というのも、いざ実際に出場する場合は、未知のオーバルではなくロードコースでデビューというのが現実的。しかし今季、F1と重ならないロードコースでのレースは、6月26日のソノマと8月7日のワトキンスグレンしかない。ソノマに出るためにはテストをする必要があったが、すでに手遅れ。ワトキンスグレンはF1の夏休みにあたり、可能性は高かったのだが、グロージャン自身が二の足を踏んでいる。
「その1週間前までに、2連戦を3回もこなしてるんだよ。8週間のうち6週間がF1でつぶれるんだ。NASCARに出るとなったら、合間にテストもしたい。そうしたら家族と過ごす週末が完全にゼロになってしまう。残念だけど、ちょっと無理だよ」
ちなみに10月と11月には、カンザスとホームステッドに行くという。
「ただし、純粋に観客としてね。まず実際のレースを見て、そして来年の1月か2月には、ぜひテストでNASCARを走らせたい。来年は必ずNASCARデビューを果たすよ」
ちなみに、この話が最初に公になった5月には「まだ奥さんの許可を取ってない」と言っていたグロージャンだが「今回は大丈夫」と笑っていた。別カテゴリーでのレースを禁じる契約条項に阻まれ、出たくても出られないF1ドライバーがほとんどのなか、昨年ル・マンに出場したフォース・インディアのニコ・ヒュルケンベルグに続く、貴重な例外となりそうだ。