カナダGPのFIA木曜ドライバー会見は、やはり前列中央に座ったダニエル・リカルドが話題の中心になりました。2戦連続で優勝を逃した落胆ぶりは見ていて可哀想なくらいでしたが、いきなり司会から話を振られます。
リカルドは「すべてをクールオフするのに数日はかかったけど、チームのみんなと話し合って何が起きたのかを確認した。大切なのは、二度と起きないようにするということと前に進むことだ」と笑顔で答えました。
しかし会場に詰めかけた記者からは矢継ぎ早に質問が投げかけられ、ふだんは金曜会見が“主戦場”であるはずの政治担当ディーター・レンケン記者も元気に質問を連発。
「この2戦での失望は、あなたとチームの関係をどれだけ傷つけましたか?」「本当に心からチームを許せましたか?」「話し合いは、どちらから? あなたから電話をしたのか、チームから電話があったのか? それともあなたが直接ファクトリーにいったのか?」などなど、政治部らしい細かくもキツーい質問をぶつけました。
それでも嫌な表情ひとつすることなく「数日間はチームと距離を置いていたけど、僕のほうから電話をして電話で話した。クリスチャン(ホーナー)とエンジニアと……」などと説明するところを見る限り、リカルドの心中では、すっかり事件は過去のことになっている様子でした。
ほとんどの質問がリカルドに向けられ、ザウバーの同士討ち騒動で盛り上がるかと思われたマーカス・エリクソンは後列で隣のセルジオ・ペレスと何やら耳打ちし合ってニヤニヤ。その後、ペレスは隣のフェリペ・マッサと真剣な顔でしばし話し合い、最後はマッサがペレスを「このヤロー!」と小突いて笑う場面も。リカルドが延々と質問に答えている間、彼らはどんな与太話をしていたのか? ちょっと気になったりもしますが、おそらく、ここには書けないような、くだらない話だったりするのでしょう……。
そんな様子を見て、ペレスとマッサには2014年カナダGPの最終ラップで起きたクラッシュの話が振られたのですが、ペレスは開口一番「いまでも僕は、あれは彼(マッサ)のミスだと思ってるよ!」と発言。「でもペナルティを受けたのは僕だったけどね。話せば長くなるよ」と。
クラッシュしなければ優勝さえできたはずだと主張するペレスに対し、「どう思いますか?」と聞かれたマッサは「2台クラッシュしたのは良くないよね。でも僕はペナルティを受けなかったけどね!」とペレスの言葉をパクって爆笑をとりました。いずれにしても、冗談を言えるくらい、ふたりの関係は悪くないということです。
気温8度という寒さのせいで、どのドライバーも冬のようなジャケットを着ての会見。会場も仮設のテントゆえに強風のせいでバタバタ音がする、落ち着かない雰囲気ではありましたが、内容は和気あいあいとしたものになったのでした。