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V6・森田剛だけじゃない 隠れた“演技派”のジャニーズメンバーたち

2016年06月10日 06:11  リアルサウンド

リアルサウンド

(C)タナカケンイチ

 5月28日公開の映画『ヒメアノ~ル』で、映画初主演を務めたV6の森田剛。その演技力は各方面から評価され、第18回ウディネ・ファーイースト映画祭でも正式上映されたほどである。森田は2007年以降、テレビドラマや映画よりも舞台を中心に活躍していたため、話題に上がることは少なかった。しかし、ここに来て役者として一気に知名度を上げてきた。そんな森田以外にも、「実は演技派」というジャニーズメンバーは少なくない。今回は、そんな彼らの演技力について考えてみたいと思う。


参考:森田剛の連続殺人鬼役は、なぜ恐ろしいのか? “心の内を読ませない”驚異の演技


■関ジャニ∞・渋谷すばる


 デビュー以降、関ジャニ∞全員が出演している『エイトレンジャー』の主演を務めたものの、それ以外ほとんど演技の仕事をしていなかった渋谷。しかし、2015年2月14日に公開された『味園ユニバース』で初単独主演を務め、演技力に関して高い評価を獲得。「歌い手×チンピラ」というキャラクターがハマリ役となり、第19回ファンタジア国際映画祭にて、最優秀主演男優賞を受賞するという快挙を成し遂げた。そんな渋谷の演技は、ファンはもちろん共演者や映画関係者からも評価されている。『リンダ リンダ リンダ』や『天然コケッコー』で知られる監督の山下敦弘も「(渋谷は)ちゃんと記憶がなくなって、記憶が戻って、そこで複雑なものを抱えている、という表情になっていたことです。(中略)特に目の表情の違いとかは、本当に凄いなと思いましたね」と絶賛した。ある意味、渋谷が得意とする「歌」は表現力が問われるものだ。これまで、真っ直ぐな思いで歌を届けてきた渋谷だからこそ、繊細な演技ができるのかもしれない。(参考:THEATER View FUKUOKA/『味園ユニバース』山下敦弘監督インタビュー)


■Hey! Say! JUMP・八乙女光


 Hey! Say! JUMPの演技班といえば、山田涼介や中島裕翔が挙げられるだろう。映画、ドラマに絶好調な彼らの影に隠れがちだが、八乙女光の演技力はかなり高い。『3年B組金八先生(第7シリーズ)』(TBS系)で、覚醒剤使用事件を起こしてしまう“丸山しゅう役”で一躍脚光を浴び、その後もテレビドラマに出演をしているが、山田・中島に比べると出演本数は少なく、話題になることも少なかったように思う。しかし、2014年に主演を務めた舞台『殺風景』にて、再びその演技力が注目された。共演者である西岡徳馬は、「どんどん稽古中から良くなっていくんで見てて楽しかった」、「(Hey! Say! JUMPのメンバーが見たら、)嫉妬すると思うよ。絶対に嫉妬すると思う」と話をしたそうだ。山田や中島がゴールデンタイムのドラマ向きだとすると、八乙女の魅力は“内に秘められた影”が感じられる部分だと思う。Hey! Say! JUMPの中でも一線を画した役者として、今後も演技をしていってほしいメンバーだ。(NEWS LOUNGE/Hey!Say!JUMP八乙女光、主演舞台で笑顔封印!西岡徳馬「(メンバーが観たら)嫉妬する」と太鼓判)


■ジャニーズWEST・神山智洋


 独特のファッションセンスと、ダンススキルの高さに定評がある神山。しかし一方で、ナチュラルな演技も好評である。神山はジャニーズJr.時代から、関西ジャニーズメンバーが多数出演するドラマに出演し、演技力を磨いてきた。そして2014年には『SHARK』(日本テレビ系)、『SHARK~2nd Season~』(日本テレビ系)にて、より広い層へその演技を披露。神山が演じた足立哲平という役は、自分の将来や技術に不安を抱く役どころだったが、揺れる感情や若者ならではの不安を見事に表現していたように思う。さらに、2015年2月には舞台『ブラッドブラザース』で、メンバーの桐山照史とW主演を務める。幼少期から青年期まで、神山と桐山が演じるのだが、年齢ごとの立ち振る舞いを違和感なく演じ分けていた。桐山扮するミッキーとすれ違う場面などは、心の葛藤がストレートに伝わってきた。メンバー内では桐山をはじめ、重岡大毅や藤井流星が演技班として活躍を見せているが、神山のナチュラルな演技はドラマ・映画・舞台……どのような場面でも活きるのではないだろうか。また、今後の伸びしろにも期待したい俳優である。


 吉住渉の漫画『ハンサムな彼女』で、こんな場面があった。若い映画監督が、演技の仕事をしたことがないアイドルに向けて「演技してたじゃないか、2分間。歌ってる間」と言うのだ。影の演技派ジャニーズを見ていると、この場面がいつも思い浮かぶ。最高の表現者として第一線に立っている彼らだからこそ、演技力が身についていったのであろう。今後、彼らの活躍の幅が広がることに期待したい。(高橋梓)